■連帯保証人の確認はしているのか
オヤジ世代の中には、日本育英奨学会からの奨学金を得て大学などに通った人もたくさんいる筈です。
その奨学金ですが、現在は大きく形態を変えています。
組織も独立行政法人日本学生支援機構となっています。
昔の大学生が受けられた育英会奨学金は、基本的に無利息での貸与でしたが、返済不要の上乗せ部分もありました。
たとえば、1980年代には、月額3万円足らずの返済前提の奨学金と、そこに1万円程度の返済不要分を加算した時期がありました。
金額は時代とともに増えています。
返済不要の加算がもらえるのは、高校の成績が一定以上の人に限られていたものです。
当時から、親が連帯保証人になるのは当たり前のことでした。
そして、時代が時代ですから、連帯保証人への意思確認などは行われていなかったように記憶しています。
しかし、現在は平成の世であり、連帯保証人予定者には本人への意思確認が行われて当然の時代です。
にもかかわらず、親本人が知らない間に連帯保証人にされて奨学金が貸与されていたという話がでてきました。
本人が返済しないため、連帯保証人とされている親に請求が行われて発覚したというものです。
寝耳に水の親は、この杜撰な事務手続きに対し、訴訟をもって対抗しています。
報道の限りでは、書類の筆跡がすべて同一人物のものであるとのことです。
つまり、借り主の名と親権者の名、それに連帯保証人の名を一人で書いているということです。
肝心の子供は連絡が取れない状態だといいます。
■単なる契約書の場合は筆跡の意味は薄いが
ここで、筆跡にどれほどの意味があるのかを考えます。
昭和ならいざしらず、平成の今日において、各種の契約書類は印刷かパソコンプリンターで出力したものが主流です。
そこでは、契約当事者の住所氏名まで印字されているものも珍しくありません。
つまり、誰の筆跡でもないのです。
この場合、押されているハンコで白黒をつけることが一般的です。
署名がなくても記名と押印があれば通用します。
もちろん、記名は手書きであってもかまいません。
ところが、連帯保証人は記名押印だけでなく、本人の意思確認をすべき事柄です。
そこにいれば別ですが、いない場合は他の手段で確認する必要があります。
この点、当事者間でやりとりをする主債務契約とは様相を異にします。
必ずしも、その場に連帯保証人予定者が同席するわけではないからです。
さて、ここで子供が借りたことは事実なんだから文句いわずに返せ!という意見があります。
いろいろな意見があって良いのが民主主義自由主義国家です。
従って、こんな杜撰な話で金なんか払えるか!というのも正当な意見として尊重されるべきものです。
つまり、払わないとして裁判で争うことも自由です。
本当に、勝手に書かれたもので本人への確認がなかったのであれば、存在しない債務の履行を求められていることになります。
親子だろうがなんだろうが、そんなものを返済したら、ルールも何もあったもんじゃないということも重要です。
判決を待つところですが、漏れがあるのであれば、仕事はしっかりとやってもらいたいものです。
【日時】2017年10月22日(日)
【提供】YAZIUP