西之島やアラスカのボゴスロフ島など、太平洋を取り巻く火山の活発な活動で、島の成長に注目が集まるなか、南太平洋のトンガ近くの海域では、噴火からたった5週間で新しい島が出現していたことがわかった。
米地球物理学連合(AGU)が発行する『地球宇宙科学ニュース(EOS)』で、その詳細が明らかにされた。
この島が誕生したのは、ニュージーランドの北東に位置する南太平洋に浮かぶ170の島々からなるトンガ王国。
2014年12月19日、トンガ本島の首都からヌクアロファから65キロほど北に離れたハンガ-トンガ島近くで海底火山の爆発が発生。
噴火活動が5週間あまり続いたのち、2015年1月28日には直径2キロ、標高120メートルほどの円形の島が出現した。
ニュージーランドのオークランド大学環境学部のチームは、爆発的噴火の兆しが見られなくなった2015年11月、初の上陸調査を行い、新島の地形や周辺海域の測量を実施し、報告書にまとめた。
それによると新島が出現した海域は、オーストラリアプレートと太平洋プレートがぶつかり合うトンガ・ケルマディック海溝に位置していて、隣のハンガ-トンガ島、ハンガ-ハアパイ島と共に、複数の海底火山が存在している。
この海域では地震がひんぱんに発生していて、2011年に続いて2016年11月にニュージーランドで起きた巨大地震も太平洋プレート内の活断層が震源だと見られており、海底の火山活動と何らかの関係があると考えられている。
調査チームによると、新島の噴火で隆起した円錐形の山は、2015年1月7日までに最大直径に達し、次の2週間で高さが倍増したという。
これだけ猛スピードで成長する火山は観測史上ほとんど前例がなく、1963〜1964年にかけて誕生したアイスランドのスルツェイ島が唯一の存在。
しかし、スルツェイであっても最初の噴火から、火山活動が停止するまでは4年近くかかっているうえ、トンガのように遠浅のサンゴ礁に近い海域では極めて珍しい現象だという。
しかし、これだけ短期間で形成された火山島は、噴火活動が止むと、サイクロンがもたらす豪雨や高波で急激に浸食が進み、島の誕生から2年半で火山丘の高さは4割程度低くなり、海岸線は500メートル以上後退し、約8?の面積を失った。
アラスカ・アリューシャン列島のボゴスロフ島も、昨年12月から繰り返す40回以上の噴火で、島の形状が常時変化している。
約1年5カ月ぶりに噴火活動を再開した西之島同様、今後とも動向に注目していきたい。
【日時】2017年06月28日(水) 17:38
【提供】ハザードラボ