少子化影響…迫る「静かな有事」 災害対応でも高まる重要性
防衛省が28年ぶりに自衛官の採用年齢拡大に踏み切るのは「従来の延長線上の施策では必要な防衛態勢を維持できない」(幹部)という強い危機感の表れだ。
最新鋭の装備をそろえたとしても「人」がいなければ国防は立ち行かない。今後少子化が進むのは確実で、自衛隊は北朝鮮や中国の脅威にも比肩する
「静かな有事」に直面している。
「59%…」。自民党国防族の一人は、採用に関する防衛省の内部資料をみて、こう絶句したという。平成29年度の海上自衛隊の自衛官候補生の採用数(男子)が、
募集計画の59・9%にとどまっていたからだ。陸上自衛隊と航空自衛隊もそれぞれ約8割にすぎなかった。
厳しい数字は、そのまま現場にも反映されている。海自の護衛艦任務では、定員に満たない人数で出航することが常態化している。
本来は3班制でのローテーションを2班制で回すなど、隊員にかかる負荷は重い。海自では業務の効率化の推進などで現状をしのいでいるが、
抜本的な解決には結びつかないのが実情だ。陸自や空自も同じ構図に頭を悩ませている。
総務省などによると、自衛隊が採用対象としている18〜26歳の人口は減少を続けており、50年度には6年度のピーク時から半減する見込みだ。
最近の景気回復で民間企業に人材が流れていることもある。自衛官の採用が今後さらに厳しさを増すのは必至で、防衛省は今回の採用年齢の拡大に加え、
定年延長や再任用の拡充、女性活用の推進などを断行する方針だ
防衛省が28年ぶりに自衛官の採用年齢拡大に踏み切るのは「従来の延長線上の施策では必要な防衛態勢を維持できない」(幹部)という強い危機感の表れだ。
最新鋭の装備をそろえたとしても「人」がいなければ国防は立ち行かない。今後少子化が進むのは確実で、自衛隊は北朝鮮や中国の脅威にも比肩する
「静かな有事」に直面している。
「59%…」。自民党国防族の一人は、採用に関する防衛省の内部資料をみて、こう絶句したという。平成29年度の海上自衛隊の自衛官候補生の採用数(男子)が、
募集計画の59・9%にとどまっていたからだ。陸上自衛隊と航空自衛隊もそれぞれ約8割にすぎなかった。
厳しい数字は、そのまま現場にも反映されている。海自の護衛艦任務では、定員に満たない人数で出航することが常態化している。
本来は3班制でのローテーションを2班制で回すなど、隊員にかかる負荷は重い。海自では業務の効率化の推進などで現状をしのいでいるが、
抜本的な解決には結びつかないのが実情だ。陸自や空自も同じ構図に頭を悩ませている。
総務省などによると、自衛隊が採用対象としている18〜26歳の人口は減少を続けており、50年度には6年度のピーク時から半減する見込みだ。
最近の景気回復で民間企業に人材が流れていることもある。自衛官の採用が今後さらに厳しさを増すのは必至で、防衛省は今回の採用年齢の拡大に加え、
定年延長や再任用の拡充、女性活用の推進などを断行する方針だ