南太平洋に浮かぶソロモン諸島のティナクラ火山で今月20日、2回の爆発的噴火があり、溶岩流出が始まったようすを日米両国の観測衛星がとらえた。
ティナクラ火山は、活発な噴火活動が続くバヌアツのアオーバ島とも距離的に近く、同じ環太平洋火山帯に属する位置する火山島だ。
航空の安全を脅かす火山灰を監視する国際機関「航空路火山灰情報センター(VAAC)」は、気象衛星ひまわり8号や米国の衛星ランドサット8号などの観測データから、ティナクラ火山で2回の噴火があった模様だと発表し、周辺上空を飛行する国際線へ警戒を呼びかけた。
ティナクラ火山は、ソロモン諸島のうち、南東に位置するサンタクルーズ諸島の火山島で、標高は851メートル。
かつては島民が住んでいた、19世紀にあった噴火で火砕流が全島を覆った際に全滅。
20世紀中頃にはポリネシアの人たち約130人が移住してきたが、1971年の噴火で退去し、現在は無人島になっている。
そのため、現地の状況は衛星の観測データでしかつかめないが、赤外線熱観測画像などの分析の結果、島の西側で高温域が広がっていることから、ストロンボリ式噴火に伴って溶岩流が発生した可能性が高いと推測されている。
環太平洋火山帯では、ティナクラ火山から南東に300キロほど離れたバヌアツのアオーバ島でも活発な火山活動が続いているほか、インドネシア・バリ島でもアグン山で火山性地震が急増している。
地殻変動がこの地域の火山活動にどう影響するのか、各国の火山学者や地質学者が注目している。
【日時】2017年10月23日(月) 11:45
【提供】ハザードラボ