米国の軍事的圧力及び中国の政治的働きかけ、そして国連の制裁決議にもかかわらず、北朝鮮は核弾頭と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を加速させている。このまま、北朝鮮が時間稼ぎに成功すれば、近い将来、米国に対する北朝鮮の核攻撃という脅威が現実のものとなる可能性が高い。
米国もそれを理解していない訳ではない。2017年6月7日、米国防総省のスーファー副次官補(核・ミサイル防衛政策担当)が、米情報機関の分析に基づき、北朝鮮初のICBM発射実験について、「年内に実施できる態勢が整う」と議会に証言したのだ。
トランプ政権は、北朝鮮が米本土を射程に入れるICBMを保有することを警戒してきた。米国は、何人たりとも米本土を自由に攻撃できる能力を持つことを許さない。ましてや大量破壊兵器である核兵器だ。北朝鮮のICBMの発射実験が成功すれば米国内で危機感が高まり、北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を迫る現在の「最大限の圧力」政策の転換を迫られる可能性がある。その行き着く先は、北朝鮮に対する米国の軍事力行使だ。
北朝鮮は、米国を攻撃できる核兵器を保有することが唯一の生存の手段であると考えている。核兵器がなければ、米国や他の大国によって、体制が崩壊させられると考えるのだ。自国(現在の統治システム)の生存のための核兵器及び弾道ミサイル開発を、たとえ国際秩序に反すると非難されても、北朝鮮があきらめるはずがない。
[匿名さん]