■ファリダット以来のOP馬誕生
スプリンターズSなど10勝を挙げた名スプリンター・ビリーヴの仔から、やっと1頭の活躍馬が輩出された。
ここへきてOP特別を連勝し、いよいよ重賞制覇の期待がかかるフィドゥーシア(牝5・松元茂樹厩舎)である。
4月の中山・春雷Sこそ9番人気という低評価での勝利だったが、これはその前、京都牝馬Sで距離が長すぎての大敗をうけて、人気の盲点となったもの。
だれがみても「あ、ぴったり」と思われた、前走新潟千直の韋駄天Sでは着差以上の完勝劇を見せた。
これでしっかり「適性を確認された」フィドゥーシアは、その後の春競馬を全休し、ここ夏の新潟路に目標を定めたのである。
■とにかく活躍馬に乏しかったファミリー
母ビリーヴは稀代の名牝であったが、そのファミリーはと言えば、いっこうに活躍馬を出すことができないでいた。
母の母グレートクリスティーヌはビリーヴ以外にも9頭の産駒を産んでいるが、Woodmanからサンデー、果てはジェイドロバリーまで配合されても、活躍馬ゼロ。
その下の世代にも全くと言ってよいほど活躍馬が出ず、もはやPOG業界では「ビリーヴはたった1頭の突然変異馬」説まであったとか、なかったとか。
確かにG1タイトルまであと少しだったファリダット(父Kingmambo)はいたものの、元のビリーヴのポテンシャルを考えれば「そんな程度のはずがない」と誰もが思っていたはず。
そこへきてゆっくりと成長を遂げたフィドゥーシアがOP入りしたからさあ大変。いよいよこの馬こそ母の血を引く正統な後継者だと、騒がれ始めたわけである。
■いかにも千直よさそうな血統背景
父メダグリアドーロは、バリバリの米系ダート中距離血統。
新潟千直がいかにダート馬でも走れると言っても、この字面で1000Mを突っ走れるのは、一も二もなく母のおかげ。
フィドゥーシア自身の毛色は「鹿毛」であり、もちろん母と同じ。
父は黒鹿毛だが父の父エルプラドは「芦毛」。
つまりこの父系は産駒に直接大きな影響を与える種牡馬たちではなく、母ビリーヴの良さをそのまま引き出した可能性が高い。
ま、ブラックタイド産駒なんかといっしょですな。
そう考えれば今までよかれと思って配合した大種牡馬とビリーヴは、どこか血統上でケンカしていたのかもしれないなぁ。
鹿毛でさかのぼれる母系には、ダンチヒ、アイスカペイドなどスピードの権化ばかりが掛け合わされ、どこまでいっても1000M仕様だ。
■あとは「暑さ」との戦いか
ところがこの娘さん、これまで暑い夏競馬で走ったことが1回しかない!
昨年8月に勝ってはいるのだが、なんと当日小倉の天気が「雨」という微妙さ。
ギリギリに仕上げて、新潟まで輸送して、炎天下のパドックを歩いて、といういくつものハンデを見事克服した先に、母が歩いた偉大な道が見えてこよう。
【日時】2017年07月23日(日)
【提供】YAZIUP