📊 政治・経済ニュース

国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

先日、ある国会議員の政治資金パーティがありました。

「政治資金」というといいイメージはないかもしれませんが、政治資金規正法にのっとって集められるものであれば、国会議員が政治活動をする上で必要な活動資金として認められます。

パーティは、支援者間の親睦会の意味合いもありますし、会場や規模はその国会議員の力の大きさを反映します。

また、集客状況から、世間でどのくらい注目されているのかもわかります。

この会費は、支援者や関係者が会場で払うか、事前に振り込む形式が一般的で、相場は都心のホテルで2万円、選挙区である地元は1万円程度です。

しかし、先日行われたパーティの会費は、なんと5万円でした。

普通はありえない額です。

相場を知らない無知な秘書が設定したのか、ボスである議員が自分自身を買いかぶっているのか……。

案内状の金額を見て、秘書仲間とびっくりしましたが、もっと驚いたことがありました。

パーティで配られる記念品です。

普通は議員の地元の名産品で、出版記念パーティを兼ねているときは、自著も用意するのが永田町の「常識」です。

今回は5万円の会費なのですから、どのくらい豪華なものを用意しているのかなーと思っていましたが、なんと、その議員が1枚1枚半紙に毛筆で書いたサインだけでした。

その昔、田中角栄の書が数万円から数十万円で取引されていたことがありましたが、同じようなことを狙ったのかもしれません。

でも、色紙ではなくて、ペラペラの「半紙」ですよ？

「経費削減にも限度があるでしょ？」と思いました。

■「新妻」のお披露目会
その政治資金パーティの主催者とは、アントニオ猪木議員です。

参加したごく一部の方へは“再婚報告会”という位置づけだったのです。

この日、集まったのは300人程度だったそうです。

自民党の大物クラスのパーティなら3000人とかも珍しくないですし、猪木議員の知名度ならもっと来てもいいはずですが、やはり「5万円」だと普通は躊躇しますよね。

でも、300人の方が5万円を出し、出席されずにお金だけ出す方や5万円以上の御祝金を出す方もいらっしゃいますから、会場費などの経費を差し引いてもかなりのお金が残ったと思います。

記念品はほぼゼロ円ですしね。

それで、2次会に50人くらいが集まり、その席で超大口の支援者（パチンコ業界の方など）に対して、内内で「入籍報告」があったということでした。

今回で4回目の結婚となり、今年の自分の74歳の誕生日に入籍したのだそうです。

ツイッターでは「74歳」にかけて「何もなし！」ということのようでしたが、支援者さんは怒らないんですかね。

お相手は、長年「愛人」といわれていた女性。

法律上は、議員は独身なので、「愛人」というよりは「内妻」あるいは「彼女」ということなのかもしれませんが、以前から永田町では「愛人認定」されています。

一時期、猪木議員はその愛人を公設秘書として登録していて「週刊文春」（文藝春秋）などのメディアに批判されたこともありました。

永田町の秘書仲間からは、実は相当嫌がられている女性なのです。

ですから、今回の結婚も「正式な妻になったら、さらに威張りん坊になられてしまう……」と、誰も喜んでいません。

そもそも週刊誌沙汰になったりすれば、普通は目立たないようにするかと思うのですが、かなり目立つ和装でそのパーティに登場していたので、違和感を持った参加者も多数いたようです。

でも「新妻」のお披露目会だったとすれば納得ですよね。

そして、ふだんの彼女は、議員会館でもどぎついピンクなどの色のドレスと舞台化粧並みの濃いメイクで歩き回り、私たち秘書仲間からは“金の亡者”と呼ばれています。

猪木議員にアポイントをお願いすると、お金を要求してくることもザラで、選挙の応援演説やパーティのゲストで来てもらうと、100万円単位で要求されます。

それでも、「あの知名度だからしょうがない」と払う国会議員もいるわけです。

まあ、だいたいは高いお金を払って来てもらっても、とにかく自分中心で、自分の「入場」の時の音楽や音量、タイミングなどを細かく指示されるので、呼んだ方が「誰が主役だと思っているんだ」とあきれてしまうそうです。

「あの人には二度と頼まない」というのが、秘書たちみんなが知っている「議員あるあるエピソード」のひとつです。

■プロレスの元「神様」は税金ドロボー!?
とはいえ、猪木議員の知名度は圧倒的と言っていいでしょう。

かつてプロレス界で「神様」として活躍し、当時は子どもから大人まで熱狂したヒーローでした。

国内だけではなく、海外でも「あのモハメド・アリと闘った男」として、今でもとても有名です。

でも、74歳の誕生日に金の亡者と結婚なんて、憧れていたファンたちはがっかりするでしょうね。

今では肖像権や著作権もすべて、この「新妻」に握られているようです。

選挙には「地盤（選挙区の支援者の数）」「看板（知名度）」「カバン（資金）」の「三バン」がないと勝てないのですが、猪木議員には圧倒的な「看板」があります。

4年前の参議院選挙では、その看板のおかげで自己資金を出さずに、当時所属していた党のお金で当選しています。

それなのに離党し、今は無所属で自由気ままにされています。

永田町で「猪木議員は今まで政治家として何をしてきたのか？」と聞かれたら「何もしてないんじゃないですか」と答える人がほとんどではないでしょうか。

秘書たちは、みんな税金ドロボーの筆頭格の議員だと思っています。

さらに調べたところ、なんと、アントニオ猪木事務所は「公設秘書現況届」を提出していないそうです。

罰則がないとはいえ、決められている公設秘書現況届を提出していないなんて、国会議員としての責務を感じていないのではないでしょうか。

公設秘書現況届とは、国会議員に与えられている特権のひとつです。

衆議院または参議院の費用で秘書を3人まで雇用できる権利に対し、情報公開をする制度のことです。

政策秘書、第1秘書、第2秘書の名前、そして、それぞれ議員会館で働いているのか、地元で働いているのか、などを公表します。

これは、実際には働いていない家族を公設秘書に登録し、給与を詐取していた事件などを受け、公設秘書の現況を公開しましょうと、会派間で取り決めたものです。

現在無所属の猪木議員も当然、この取り決めを守らなければなりません。

かつて別の女性と結婚していたときに、この「愛人」（現妻）との浮気を報道されたために一度は抹消した公設登録を、報道が沈静化した頃を見計らって再登録し、彼女は公設秘書の記章をつけて国会内を闊歩していたとも聞いています。

金の亡者ですから、秘書給与を受け取っている可能性もありますよね。

でも、お年のせいか、以前の活躍からは考えられない行動をされる議員は、ほかにもいます。

判断力が鈍るというか、決断のポイントがずれるというのか……。

いくら、「かつてはすごかった」といっても、国会議員は国民のために仕事をすることが第一ですので、国民のためではなく、自分の老後のために歳費をもらう議員たちを、神澤は許せません。

この記事を見て、少しでも襟を正してほしいと願っています。

これが私たち秘書からの「結婚祝い」のメッセージですね。