地方自治体の「高齢者支援センター」などと称する団体が、「個人情報が漏れている」とウソの電話をかけてきて、登録の取り消しに協力する代わりに被災地支援物資の購入を求め、応じると「名義貸しは違法に当たる」などと脅して、現金を送るよう指示する被害が関東地方周辺で相次いでいるとして、消費者庁が注意を呼びかけている。
消費者庁によると、詐欺の手口は、介護保険法によって各地方自治体が設置している地域包括支援センターとよく似た名前の「高齢者支援センター」などと名乗る団体が高齢者宅に電話をかけ、「個人情報が漏れて複数の団体に名前が登録されている。登録を取り消す代わりに、別の登録者を探してあげます」などと持ちかけ、代理登録者に電話するよう求めてくるもの。
被害者が教えられた代理登録者にお礼の電話をすると、今度は「被災地の子供に送る支援物資を購入するために、登録番号を教えて欲しい」と指示。
答えると次は別の団体が「名義貸しは違法行為だ」と脅して、金融庁の査察に必要だとして、被害者の預金残高を聞き出して、現金を宅配便で送るよう命令するという。
業者は被害者に現金を送らせた後も、数カ月にわたって毎日電話連絡してきて、金融庁の検査状況などウソの報告を続け、お金が戻ってくると信じこませたうえ、ある日突然電話がつながらなくなるという。
消費者庁によると、2014年7月〜今年5月末までに全国の消費者センターで相談を受けた件数は計48件。
相談者の内訳を見ると、45人が女性で、現金の支払いが確認されたのは6件。
被害総額は約8700万円にのぼり、すべて関東地方に住む70代以上の女性だ。
消費者庁が法人登録や電話番号を調べたところ、実態は不明のままで、現金送付先の一部は詐欺グループから、受け取りを命じられた「受け子役」の別の消費者の自宅だった。
現在、被害届を受けた警察が詐欺の容疑で犯人グループの実態解明を急いでいる。
最初に被害者宅に電話をかけてくる人物は、被害者が住んでいる市町村名に続いて「高齢者支援センター」や「高齢者生活支援ボランティアセンター」などといった福祉関係の団体を名乗ることで、高齢女性を信じ込ませる巧みな手口が報告されている。
消費者庁では、「個人情報が漏れている」「名義貸しは違法です」などといって、宅配便で現金を送るよう求めてくるのは“典型的な詐欺の手口”だとして、不審な電話がかかってきたり、巻き込まれたと感じた場合は、一人で抱え込まず、家族や消費者ホットライン(188)、警察の相談専用窓口(#9110)に相談するよう注意を呼びかけている。
【日時】2017年06月26日(月) 17:00
【提供】ハザードラボ