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■ラッパーといえばマーク・パンサー!!
ラップを取り入れた楽曲も今では珍しくなくなりましたし、フリースタイルラップとかMCバトルといったスタイルも、テレビ番組などで取り上げられる様になりました。

この様に、すっかり定着した日本語ラップなのですが、その元祖とは何だったか?　と考えると、なかなか難しいものです。

30代ぐらいの方々なら、この問に「グローブ」のマーク・パンサーさんをあげる人も多いでしょう。

グローブが活躍したのは、小室哲哉さん率いるファミリーが音楽チャートを席巻したころ。

「メンズ・ノンノ」全盛期にモデルとして脚光を浴びた後に、日本では当時は耳慣れないラッパーという肩書とともに登場したマークさんには相当なインパクトがありましたから、あれを持って元祖というのは間違っていないかもしれません。

ですから、ラッパーなる職業を定着させたという意味ではマークさんは元祖といって良いのかもしれませんが、まあ時代としては相当新しいもの。

元祖日本語ラップというにはまだ、時代の重みが足りません。

■スチャダラパーかそれとも、いとうせいこうか?
スチャダラパーとなるとどうかというと、確かに時代としてはグローブよりもさかのぼりますし、日本語ラップのみのアルバムをリリースした最初の存在。

ですから、彼らを元祖日本語ラップと呼ぶのも良いかもしれません。

しかし、音楽スタイルの一部としてラップを取り入れるならば、高木完さんや近田春夫さん、いとうせいこうさんがまだまだ早い、ということになるのです。

そもそも、スチャダラパーを「11PM」の番組内でマスに乗せたのは、いとうせいこうさんだったのですから。

■いやいや「スネークマンショー」でしょう!!
さて、オヤジの世代にこのことを聞くと、吉幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」をあげる人が多いはず。

調べてみると、オリコン年間チャートでこの曲は21位を記録していますから、大ヒットした日本語ラップの最初といっても間違いはありません。

この曲がリリースされたのは1984年、時代としても相当早いですし、その後、演歌でも数々のメガヒットを飛ばす吉さん音楽性の広さを表しているという点でも非常に良い例ということができます。

しかし、まだ古いものがある。

それは1981年に発表された「スネークマンショー」の同名のアルバムに収録されている「咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3」です。

スネークマンショーとは音楽プロデューサー・桑原茂一さんと小林克也さんにより結成されたコント・ユニット。

後に伊武雅刀さんも加入して、発表されたアルバムが「スネークマンショー」、よくわからない楽曲とコントで織りなされた世界に、衝撃を受けた人たちも多いはずなのです。

このアルバムのB面の終盤を飾るのが日本語ラップの元祖「咲坂と〜」……まあ作曲・編曲は細野晴臣さんとなっていますし演奏も非常に達者ですから、流石といい切りたい所なのですが……まあ誰が聞いてもバックトラックはイアン・デューリーの丸パクリなので、何も言うまいという感じです。

■笑いとは不可分だった日本語ラップ
日本語ラップの元祖がコントユニットにより発表された。

このことでもわかる通り日本語ラップとは本来、笑いと切っても切れないものだったはずなのです。

当初はバックトラックもスタイルも借り物だからという自虐的な笑いも含めたスタイルが、日本語ラップだったはずなのです。

にも関わらず、いつの間にやらやたらと腕組みをして、ふんぞり返るというスタイルが定着してしまったのはなぜでしょう。

妙にペラペラに聞こえてしまう歌詞と、ふんぞり返ってオラ付くスタイル……日本語ラップってこんなんじゃなかったはずなのに、と思うのです。

まあ、日本語ラップの元祖については、例えば河内音頭とか主張する人も多いでしょう。

でもね、考えてみれば、あちらのスタイルも笑いとは不可分だったはずなのですよ。