高濃度汚染土 流出 福島山林 下流に拡散か
東京新聞2019年11月18日 07時02分
十月の台風19号の大雨により、東京電力福島第一原発事故で高濃度に汚染された山林の土砂が崩れて
道路に流れ出ていたことが、本紙と木村真三・独協医科大准教授(放射線衛生学)の合同調査で分かった。
放射性廃棄物の基準値内ではあるものの、放射性セシウムが大量の雨や土砂と共に河川の下流域に流れ
て汚染が拡散したとみられ、被ばく対策に警戒が必要だ。 (大野孝志、写真も)
調査は台風通過後の十月二十四〜二十九日、福島県南相馬、いわき、二本松、本宮各市の土砂崩れや川
の氾濫現場、浸水した住宅地の計十五カ所で堆積した土砂を採取し、セシウムの濃度を測定した。
南相馬市小高区の山から路上に流れ出た土砂で、一キログラム当たり約三〇〇〇〜五〇〇〇ベクレルの
セシウムを検出した。現場は川沿いで住宅地の上流。近くに墓地があり、墓参りで住民が訪ねる場所だ。原発
事故後、山林で除染したのは縁から二十メートルの範囲だけだったため山奥に高濃度の汚染が残っており、
その土砂が流出したとみられる。