TOEIC撤退、波及心配
「そんなことが許されるのか」。ある府立高の副校長は今月上旬のニュースに驚きを隠さない。英語の民間検定試験「TOEIC」の運営会社が、21年1月から大学入試センター試験の後継として始まる大学入学共通テストへの参加を「運営が複雑で対応が困難」と取り下げたのだ。同テストでは英語の「読む・書く・聞く・話す」の4技能を測る目玉として準備が進められてきた。副校長は「他の検定試験に波及しないか心配。受験生に不安が広がる」と危惧する。
政府主導で教育の在り方を議論する枠組みは過去にもあった。1984年、当時の中曽根康弘首相が設置した政府直属の臨時教育審議会だ。かつて文科省の審議官として「ゆとり教育」を推進した京都造形芸術大の寺脇研客員教授は「臨教審は中立的な委員で3年ほど掛けて20〜30年後の教育の在り方を議論した。安倍政権は、猛スピードで新しいことをやり、ほころびが出ている」と警鐘を鳴らす。「教育問題はこれまで中立的に議論されてきたため、選挙の争点になることは少なかった。安倍1強で教育内容が決められる今こそ、与野党で論争すべきだ」
◇ ◇
参院選では安倍政権の6年半をどう評価するかが問われる。年金や景気、憲法改正や教育…。争点となっている政策課題の現場を訪ねる。
京都新聞社
「そんなことが許されるのか」。ある府立高の副校長は今月上旬のニュースに驚きを隠さない。英語の民間検定試験「TOEIC」の運営会社が、21年1月から大学入試センター試験の後継として始まる大学入学共通テストへの参加を「運営が複雑で対応が困難」と取り下げたのだ。同テストでは英語の「読む・書く・聞く・話す」の4技能を測る目玉として準備が進められてきた。副校長は「他の検定試験に波及しないか心配。受験生に不安が広がる」と危惧する。
政府主導で教育の在り方を議論する枠組みは過去にもあった。1984年、当時の中曽根康弘首相が設置した政府直属の臨時教育審議会だ。かつて文科省の審議官として「ゆとり教育」を推進した京都造形芸術大の寺脇研客員教授は「臨教審は中立的な委員で3年ほど掛けて20〜30年後の教育の在り方を議論した。安倍政権は、猛スピードで新しいことをやり、ほころびが出ている」と警鐘を鳴らす。「教育問題はこれまで中立的に議論されてきたため、選挙の争点になることは少なかった。安倍1強で教育内容が決められる今こそ、与野党で論争すべきだ」
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参院選では安倍政権の6年半をどう評価するかが問われる。年金や景気、憲法改正や教育…。争点となっている政策課題の現場を訪ねる。
京都新聞社