■鉄道ファンであり、航空業界で培った営業センスもある
鳥塚氏は少年時代からの鉄道ファンだ。ブログでも懐かしい写真をたくさん載せて、同世代を中心に幅広い年齢の鉄道ファンを楽しませてくれる。
しかし就職先は外資系航空会社だった。歴史的に航空業界は鉄道業界と比べて後発だけど、航空業界は鉄道業界よりも歴史の長い海運業界を手本にしている。
安全面、運航面、サービス、保険など、制度や考え方が洗練された部分もある。ブログでは鉄道業界に多くの気づきを与えた。
一方、副業として列車前面展望ビデオを制作販売する「パシナコーポレーション」を設立。現在までに570以上の作品を販売している。
こうした鉄道好きと航空会社時代の営業センス、経営手腕が買われていすみ鉄道の公募社長に就任した。
いすみ鉄道時代は国鉄型気動車のキハ52形とキハ28形をJR西日本から譲り受け、急行列車として動態保存運転を実施。
昭和の原風景と車両の歴史感を同期させ、「ここにはなにもないがあります」というキャッチフレーズで誘客。伊勢エビを使った高級レストラン列車や、
ムーミンを起用したキャラクター列車、沿線に人形を配置して車窓にムーミン谷を再現するなど、鉄道ファン以外の人々にも魅力ある鉄道に仕立てた。
話題作りが功を奏し、いすみ鉄道のメディア露出が増えると、沿線に観光客が増えて活性化された。国内外の鉄道関係者が視察に訪れた。
鳥塚氏は社長時代から全国のローカル鉄道と交流を深め、「おいしいローカル線を作る会」を結成。いすみ鉄道退任後も「いすみ観光大使」を務めつつ、東奔西走して奔放な活動を続けている。