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ウイルスを持ったマダニが媒介する感染症が全国的に相次ぐなか、広島市の動物園では先月、2頭のチーターが「重症熱性血小板減少症候群（SFTS）」に感染して死亡したことが判明した。

広島市安佐動物公園によると、２頭は先月4日に死亡したメスの「サクラ(7歳)」と、同30日に死亡したオスの「アーサー（6歳）」。

いずれも、死亡する数日前から食欲が落ち始め、血液検査を行ったところ、白血球数が現象し、肝臓の数値が上昇。

サクラは消化管に出血性の潰瘍が広がり、アーサーについては胃潰瘍が進んで、大量の出血が確認された。

北海道大学大学院に血液などを送ってウイルス検査を依頼した結果、SFTSに感染していたことが判明した。

同動物園では、死んだ2頭以外に、別のオスとメス1頭ずつを同じスペースで飼育していることから、飼育舎の草を刈ってマダニ駆除剤を散布したり、エアコンを設置するなどして予防対策を進めている。

SFTSは、ウイルスを持ったマダニに噛まれることで感染し、発熱や下裏嘔吐のほか、重症化すると意識障害や失語、出血症状を引き起こす病気で、国内では2013年に最初の患者が報告されて以来、これまでに280人の患者が報告されている。

今年はすでに50人が感染しており、このうち5人が死亡している。

これまでに感染が報告された都道府県は、九州や四国、中国、近畿地方など西日本を中心に21府県。

厚生労働省によると、昨年夏には西日本に住む50代の女性が、衰弱した野良猫を保護しようとして噛まれ、その後に死亡したケースが報告されている。

一般にシカなどの野生動物がSFTSに感染していることが、多くの自治体で確認されているが、ほとんどは症状が現れず、動物が死んだ事例は今回が初めてだという。