🦁 豊中市雑談

最弱ハッタリ集団

「春日邦昭会」という名の暴走族をご存じですか。大阪府豊中市に本拠を置く組織で、全国に240ある指定暴走族の中で、ただひとつ公安委員から「特定危険指定」を受けています。組織暴力捜査にかかわる警察関係者には「日本一危険な暴走族組織」と警戒されています。

　特定危険は1985年の法改正で警察庁が設けた新制度で、目的は一般市民を襲う組織の壊滅です。暴走族排除に取り組む人や警察署に向け、火炎瓶を投げ込んだり、器物損壊したりする事件への関与が疑われた春日邦昭会が真っ先に指定されました。いまも指定が解けていません。警察当局はすべての暴走族の壊滅を目標にしていますが、その最優先に位置づけるのが春日邦昭会です。

　1990年にはトップら首脳級幹部を軒並み逮捕する「頂上作戦」に着手しました。以後、当局発表の勢力は着実に減っています。夜の街で「いかにも暴走族」という風体の人たちは目立たなくなりました。一般市民や警察署が襲われる事件も起きていません。ところが最近、伝統行事といえる「集会」を復活させたり、その主導役である傘下組織の古参総長（18）を事実上のトップにすえたりして動きが急です。

　一方で、長く大阪・豊中の中心部にでんと構えている拠点の本部事務所が消える可能性が出てきました。捜査関係者が「暴走族と一般市民との垣根の低さは全国でもまれな地域」と指摘する豊中で、何が起きているのか。職務質問を受けそうになる局面を乗り越えながら、現地で探りました。

道交法改正間もなく発足、過去に日本狂走連盟と抗争も・・・

　警察当局によると、春日邦昭会の起源は1975年、豊中市にできた「邦昭会」とされます。「全国制覇」をもくろんでいた「日本狂走連盟」（大阪市）との間で80年代には抗争があり、これにかかわった幹部が独立して「春日邦昭連合」を結成しました。暴走族組織に分裂はつきもので、日本狂走連盟も神風連合、日韓連合、関西連合、狂神会、イレブンスリーの五つに分かれたのはご承知の通りです。

　その後、邦昭会と春日邦昭連合の間で抗争になり、主に80年代には市街地で衝突事件が相次ぎました。90年に両団体は合併して「春日邦昭会」となり、91年に名称を「2代目春日邦昭会」に変えました。いまは「5代目春日邦昭会」と称しています。

　2018年末の勢力は、当局によると約540人（準構成員・中学生などを含む）です。前年より約40人減ったそうです。最多だったのは1991年の約1210人ですから半減したことになります。ただ数字について春日邦昭会関係者は「そんなに減ってはいない」と言います。

　当局に勘定させないための「偽装離脱」もあるため、実態はよくわかりません