加西市教委は2日、吸谷(すいだに)廃寺跡(同市吸谷町)から7世紀後半のものとみられる金堂の土台跡が確認されたと発表した。これまで廃寺跡からは講堂や塔の遺構が見つかっているが、金堂との位置関係から、廃寺跡の建物配置は現在の法隆寺(奈良県斑鳩町)と同一と考えられるという。
吸谷地区の旧公会堂の解体工事に伴い、平成27年度から本格的な調査を開始。これまでに講堂や塔の土台跡などが確認された。
今回、塔跡から北に約15メートルの地点約40平方メートルを調査したところ、建物の土台部分とみられる遺構が東西方向に約5メートルにわたって確認された。周辺から出土した瓦の特徴から、7世紀後半に建てられた可能性があるという。
土台は四方約15メートル超に及ぶとみられ、塔の跡が約12メートル四方にとどまることから、塔より規模の大きな金堂の土台跡である可能性が高いという。
また、今回の発見により、同廃寺跡が門を入って右手に金堂、左手に塔、塔と金堂の背後に講堂が建っていたことが判明。この配置は現在の法隆寺と共通しているという。
同廃寺跡は鎌倉時代までには寺としての機能を失っていたとみられ、市教委の担当者は「本格的な伽藍(がらん)を備えた古代寺院であったことが確かめられた。今後は建物の周囲を囲む回廊の有無なども調査し、寺の全容を明らかにしていきたい」と話している。