五輪百景
萩野に固定観念砕かれた!日本人の身体能力世界通用
首藤正徳記者 [2016年8月8日19時4分]
日本人の身体能力は欧米人に劣るという固定観念が砕かれた。大男たちを置き去りにする萩野公介の泳ぎを見たからだ。
男子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した翌日、200メートル自由形でも準決勝を全体の2位で突破した。体格と馬力勝負の種目で日本人が世界トップをうかがうなど、以前の私には想像もできなかった。
サッカー担当時代、日本の指導者たちから「海外勢には個の力では勝てない」という言葉を何度も聞いた。世界を相手にすると、規律や連動といった「日本らしさ」に固執した戦い方に徹し、1対1の局面を回避した。今思うと、たいした科学的な根拠もなく、自分たちで海外との境目を決めていたのかもしれない。
この日本人の劣等感に異議を唱えた欧米人を思い出した。サッカー02年W杯で日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエ氏である。彼は「身体能力が海外より劣るというのは偏見だ」と主張し続けた。W杯の2年前、母国フランスから専門家チームを呼んで選手のデータを採取した。その数値は欧州のトップ選手と比較しても遜色なかった。
同氏のアシスタント通訳を務めたフローラン・ダバディ氏からこんな話を聞いたことがある。「90年代、世界最高峰のNHL(北米アイスホッケーリーグ)にはアジア系の選手が多かった。日系人もいた。身体能力も高かった。強い体は栄養とトレーニング次第でつくれる。つまり環境なんです。それを日本人は理解していない」。
[匿名さん]