ロシア極東のカムチャッカ半島で数百年ぶりに噴火したカンバルニー山について、米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星テラは、二酸化硫黄を含んだ黒い噴煙が北海道の沖合まで100キロ以上流れるようすをとらえた。
カンバルニー山は今月24日朝から夜にかけて爆発的噴火を繰り返し、黒い噴煙が火口から約5000メートル上空まで立ち上り、周辺に大量の火山灰が降り積もった。
NASAは地球観測衛星が25日にオホーツク海上空での観測画像を公開。
写真には、カムチャッカ半島南端から南西に向けてまっすぐに伸びる灰色の噴煙がはっきりと確認できる。
カムチャッカ半島は今月9日にもクリュチェフスカヤ山とベズイミアニ山が相次いで噴火したばかりで、「火山の博物館」の異名にふさわしく、各地で活発な火山活動が観測されている。
しかし、カンバルニー山については、観測史上、噴火の記録がなく、放射性炭素による年代測定で、最後の噴火は1350年ごろだと推定されてきた。
ロシア環境省クロノスキー国家自然保護区のサイード・オルガキリン研究員は「600年以上前の噴火の形跡は確認していたが、それ以外は250年前の活発化の記録があるだけで、科学的な観測を開始してからの火山活動の記録はまったくないことから、今後の動向は全く予測できない」との見解を述べて、監視体制の強化を決めた。
また、ロシア科学アカデミーのカムチャッカ火山噴火対策チーム(KVERT)は、「噴煙の高さは海抜8キロ上空まで到達するおそれがある」として、付近を航行する航空機へ警戒を呼びかけている。
【日時】2017年03月28日(火) 11:02
【提供】ハザードラボ