「今シーズン途中、あれだけ矢野監督がこだわってきた大山を4番から外す決断をし、唯一の3割打者だった糸井が負傷で2軍に行ってしもた。ただでえ打てんチームなのに、この詰めの段階で打線がガタガタになりかけながら、何とか長期ロードで勝率5割やったんやから、これはちゃんと評価せんといかん」
24日に首位を走る巨人に優勝マジック「20」が点灯。2005年以来、14年ぶりのリーグ制覇を目指した矢野阪神には絶望的な状況ではある。ただ、14年の和田政権以来となる日本シリーズ出場への道は、先週の5連勝で残された。26日現在で、3位・広島との差は「3」。2位のDenAとでも「3・5」だから、残り24試合で十分逆転可能だ。そこで小山氏に今後の戦い方について再度尋ねた。
残り24試合。矢野阪神はどれくらいの数字を目標に立てて戦っていくべきでしょうか?
「14勝10敗、と言いたいところやけど、それでは厳しいやろう。今借金3だからこの数字でいけば勝率5割を超えることになるが、僕は15勝を一応のラインにすべきと思う。現状、相当難しい数字やけど、そのために監督。コーチ、選手個々が何をすべきか。そこを考えながら、目の前の勝つべき試合を確実に取っていくことやないかな」
5連勝中は、先発が曲がりなりにも五回をリードして終え、残り4イニングを小刻みな継投で死守して勝ちを拾っていった。全体的には肯定的な小山氏だが、こと先発陣の投球内容には不満を呈する。「6人のローテーション投手の中に、最低でも1人は完投能力のある選手がほしい。でないと、いくら鉄壁の中継ぎ、抑え陣とはいえ、いずれ疲弊する。僕は、まだ2年目だけど高橋遙にはその責務を負ってほしいと思う。彼にはこの後、中4日、中5日で投げてチームを勢い付けてもらいたいね」。潜在能力を秘める高橋遙をDeNA、広島追撃の旗頭に立て、残り24試合を完全燃焼し、目標とするCS進出を果たせとゲキを送る。
最下位に沈んだ昨年は、長期ロードで勝率5割をキープしながら甲子園に戻った最初の3連戦で3連敗を喫し、泥沼に沈んでいった。今年はその轍を踏んではいけない。今季7勝12敗1分と苦手の中日に最低でも勝ち越すのが、小山氏が熱望する「15勝9敗」への必須条件。そして週末、何とか首位・巨人に一矢報いたい。(デイリースポーツ・中村正直=1997〜99年阪神担当キャップ、現販売局長)