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■プロとアマチュア
プロ野球とアマチュア野球。

近年こそ元プロの選手が高校野球の指導者になることも珍しいことではなくなりましたが、かつてはあり得ないことでした。

そうしたい選手はいくらでもいたでしょうが、しかしそれが許されるような状況ではなかったのです。

プロの技術や経験をアマチュアの選手にも伝えた方がより球界は発展するのに、一体なぜ？

それを説明するには、プロとアマチュアの過去の確執について触れなくてはなりません。

■長年の確執
プロ野球と社会人・高校・大学などのアマチュア野球。

どちらも、野球界にとって欠かすことのできない存在です。

そんな両者の交流が近年まで少なかった原因は、確執があったからです。

その確執の元を辿った時に辿り着くのが、1961年の「柳川事件」。

まだ、ドラフト制度が導入をされていなかった頃の話です。

ドラフトがないとはいえアマチュアから人材を募っていたのは今と変わらないのですが、プロにはプロの戦いがあるようにアマチュアにもアマチュアの戦いがあります。

そんな戦いのさなかにプロに選手を引き抜かれようものなら、戦績に大きな影響を及ぼします。

そのため社会人野球協会は3月1から10月31日まではスカウト行為をしないよう要請。

プロ側もこれを守っていたのですが、1960年にアマチュアがプロに一方的に協定の変更を通告をし状況が一変しました。

その変更内容とは、「元プロ選手は審査に合格をした翌年秋の産業対抗大会終了後でなければ試合に出れない」「その人数は1チームにつき3人まで」といったもの。

アマチュアからすればプロの選手が入ってくることによる戦力バランスの急激な変化やポジションを奪われる選手が出ることへの懸念があったのでしょうが、プロからすれば選手の貴重な再就職先にもなるわけで簡単に受け入れることはできません。

結局プロは協定を破棄することになり、翌年には中日ドラゴンズが社会人野球チームの柳川選手を「4月」に獲得することになりました。

これが、先に触れた柳川事件です。

また同年の夏には退部届をまだ出していない高校球児への接触もあり、プロとアマチュアの不仲は決定的なものになりました。

その後、アマチュアがプロからの人材を拒否することになったのは言うまでもありません。

■現在のプロとアマチュア
プロとアマチュアの関係は少しずつ、本当に少しずつですが良化をしています。

以上のような経緯から元プロの選手がアマチュアの指導者になるなんてことはあり得なかったわけですが、現在では研修と適正検査さえ受ければ学生野球の指導者になることが認められています。

もちろん社会人野球の指導者になった人もいますし、選手にも元プロがいます。

ここまで来るには長い時を要しており、両者の確執により思うようなキャリアを歩めなかった選手もいるでしょう。

そうした選手がこれから出てこないためにも、プロとアマチュアにはより一層その関係を強固なものにしていかなくてはいけません。

そしてそれが、今後の野球界の発展にも繋がっていくことでしょう。