インドの宇宙研究機関が2008年に打ち上げたのち、行方不明になっていた月探査機が、米航空宇宙局(NASA)の地上レーダーアンテナによって約8年ぶりに発見された。
探査機は月の上空200キロの軌道を今も周回中だという。
インド宇宙研究機関(ISRO)が2008年10月にロケットで打ち上げた月探査機「チャンドラヤーン1号」は、一辺1.5メートル、総重量が1380キロのキューブ状の探査機。
チャンドラヤーン1号機は、インドをはじめ、欧米各国で作られた11台の観測装置を搭載していたが、2009年8月29日を最後に地上との通信が途絶えていた。
米NASAジェット推進研究所(JPL)のマリーナ・ブロゾビッチ研究員らのチームは、カリフォルニア州にある高さ70メートルのレーダーアンテナから、約38万キロ離れた月の北極付近に向かって強力なマイクロ波ビームを放射。
月に跳ね返って戻ってきたエコーを解析した結果、4時間の観測中にチャンドラヤーン1号がビームを2回横切るのを確認。
その後、3カ月の間にさらに7度エコーを観測したという。
チームの解析の結果、チャンドラヤーン1号は通信が途絶えた2009年当時に考えられていた軌道よりも、半円分遅れて周回していることが判明した。
探査機の中には、欧州の彗星探査機「フィラエ」や日本の「プロキシオン」のように、迷子になってしまうものも珍しくないが、レーダー探偵のおかげで、消えた探査機の無事が確かめられたのは、とても喜ばしい出来事だ。
【日時】2017年03月15日(水) 15:47
【提供】ハザードラボ