一方、黒ギャングは先ほどのケンカで面子を潰されている。報復に出向いて、返り討ちに遭うことは許されない。8人のコアメンバーに加え、地元・さいたま市北区の不良仲間や、西区で活動する暴走族にも声をかけ、24人の集団で桶川に向かった。
相手に自分たちの到着を悟られないよう、直接ショッピングセンターにクルマやバイクを乗り付けず、離れたところで降りた。手に握りしめるのは木刀に角材、そして鈍く刃が光る模造刀である。
黒ずくめの集団が夜の闇に紛れて忍び寄り、青ギャングのメンバー4人を急襲したのは午後11時すぎだった。不意打ちをくらった青ギャングは一方的に殴りつけられた。
隙を見て逃げ出した者はショッピングセンターの店内に逃げ込んで保護されたが、すでに体中に暴行を受けていた。当時14歳から16歳だった被害者は、全治1週間から全治3週間の怪我を負った。捜査関係者がいう。
「抗争に関わった者の摘発を昨年10月から今年3月まで順次進めていった。結局、傷害や凶器準備集合などの容疑で、45人の少年と成人1人を検挙した。黒ギャングのリーダーは塗装工をしていた18歳の少年で、他のメンバーは現役の高校生や解体工など。青ギャングのリーダーは16歳で、こちらは中学生も数人含まれていた。
両ギャングとも、逮捕後にリーダーが解散を宣言した。だが、埼玉県内にはまだ他にも複数のカラーギャングの存在が確認されている。一連の事件が他のチームを刺激して、暴力沙汰が波及しないように注視している」
※週刊ポスト2013年4月19日号