全長2キロほどの小名浜の永崎海岸。2012年9月、車内でくつろいでいた20代のカップルを4人組の男が襲った。
「男たちは、刃物を突きつけ、『金を出せ』と脅迫。現金3万円を奪った上で、男性に暴行を加え、女性を集団で乱暴した。卑劣な犯行に及んだのは、原発事故の復旧工事のために県外から来ていた現場作業員だった」(捜査関係者)
男らは、いずれも神奈川県内の建設会社に勤務していた。事件当時、小名浜の民宿で寝泊まりし、11年9月まで原発事故の避難区域に指定されていた広野町の現場まで通っていたという。
あの日以来、地元住民が「よそ者」と呼ぶ、仕事を求めてやってきた彼らの事件やトラブルが後を絶たない。
「なかには犯罪歴のある荒くれ者やヤクザ者もいる。現場で強いストレスにさらされるため、憂さ晴らしに暴れる者も多い。いわき駅前の歓楽街では、『スナックでホステスが監禁された』とか『刃傷沙汰があった』とかしょっちゅう聞く。事故前に比べて治安が悪くなってしまった」(前出の男性)
福島県警のまとめでは、昨年6月までに県内で事件を起こし、逮捕・摘発された徐染の作業関係者は少なくとも63人にのぼる。
復興の希望と、言い得ぬ恐怖。被災者はそんないまを生きている。 =つづく
復興バブルが生んだ光と影 風俗街・小名浜、よそ者による事件多発