9月20日の恋人。
9月20日。
すねてベッドで丸くなる。
わがままで贅沢になっているのだ自分は。
恋の寿命を縮めかねないから、と、ずっと律してきたのに。
そしてどうせ。
わがままを言ってしまったと後になってまた思い悩むというのに。
ぶつかり合ってわかりあうというスタイルは自分は苦手。
言いたい放題言える人はそれで気が済むだろうけど。
口に出したことはもとには戻らない。
あとに残さず、なんてことはない。
言葉は凶器にもなるし罵る顔はけして美しくはないだろう。
感情を爆発させてそれを人にぶつけるという行為はある意味エゴだ。
そう思えば、いくら喧嘩とはいえ尖った言葉を叩きつけるなんて真似はできない。
ベッドで丸くなるしかない自分であった。
寝てしまおうと思うけれどそう都合よくいかない。
相手にしない、という戦法もあったろうに男はかまってくれた。
甘く甘く、ひたすら甘く。
馬鹿だなと、甘やかしてくれた。
「迎えに行くから。」
背を向けて布団にぐるぐる巻でまるまるミノムシを自分の方に向かせて男は言った。
!
。。。。
思うとおりにしてもらうのに、わがままを通したという結果やすねたからしかたなくなんじゃないのかという可愛げのない考えに気持ちが支配される。
いけない、これ以上ぐだぐだ言うのは。
つまらない女になる。
ちっとも楽しくない。
すぐ近くから見つめる男の目をやっと見て言った。
「す、すねてごめんなさい。」
首を横に振って男はぐるぐるの布団を剥がして中身を取り出した。
全身にキスをされるすねたミノムシ。
ころっと機嫌をなおせる人がうらやましい。
さっきまですねていたくせにどんな顔をして良いのか。
「かわいいよ。」
2度目はいつも少し意地悪に愛される。
揺さぶられながらもうわがままは言わないと誓った。
(続く)