アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれていたWTOの閣僚会合は、4日間の日程を終えて閉会しました。
自国第一主義を掲げ、貿易不均衡の是正を求めるアメリカのトランプ政権からは、ライトハイザー通商代表が出席しましたが、中国で政府の補助金を受けて過剰生産され輸出される鉄鋼などの問題を念頭に、WTOは今の貿易の課題に十分対応できていないと批判し、閉会を待たず帰国しました。
また、協議が続く多国間の貿易自由化交渉でも、各国の利害が対立して大きな進展はなく、164の国や地域の全会一致が必要な閣僚宣言はまとめられませんでした。
2年に1度の閣僚会合で閣僚宣言を出せないのは、2011年以来です。
閉会式で、WTOのアゼベド事務局長は「実質的な合意ができず大変残念だ。何が問題だったのか、われわれは真剣に考えないといけない」と述べました。
また、世耕経済産業大臣は、電子商取引の国際的なルール作りに向け初めて会合を開くなど成果はあったとしたうえで、「こういう状態ではWTOは何もできない組織として漂流するのではないか」と述べ、運営方法の改革が必要という考えを示しました。
WTOが新たな貿易の課題への対応や貿易自由化交渉でこのまま成果を出せなければ、さらなる求心力の低下は避けられず、WTOは岐路に立たされています。