8月24日に横浜地裁で開かれた論告求刑公判は傍聴人で満員だった。だが「自首が成立する」として、松尾被告に懲役3年、中里被告と大内被告に懲役2年6月が求刑された際には、法廷がわずかにどよめいた。
1人の男性を死亡させ、残忍な方法でバラバラにしたものの、3人とも執行猶予判決が出る可能性があるほど軽い求刑だったからだ。
理由は単純だ。殺人や傷害致死を立件できなかったからだ。肉片となっては、死因が判別できなかった。
「社長は入院したので、あとは私が…」現れた「義理の息子」
ただ、この公判廷で上野さんの失踪について、中里被告の弁護人が「3月に社長が失踪して以来、松尾被告が実質的にトップだった」と言及しただけで、ほとんど触れられなかった。
松尾被告は上野さんの失踪について、警察にも弁護人にも言及していないようだ。
松尾被告と会ったことがある人がこう話す。「窓のない部屋に連れて行かれましてね。怖かったですよ。一見してヤクザ者でしたし…」
中井町の三葉の従業員寮の賃料は上野さんが失踪する少し前から滞納していて、事件発生時には150万円を超えていた。
「社長は入院しましたので、あとは私がやります」。上野社長の義理の息子と名乗るその人物は不動産会社に現れ、そう言ったという。義理の息子が差し出した名刺には「上野亮介」とあった。該当する人物は取材では浮かび上がらなかっ