検察庁法改正以上に
タチの悪い国家公務員法改正
このように、検察庁法改正には単に任期延長以上に深刻な問題があるのですが、それ以上に問題なのが国家公務員法改正法案です。
まず国家公務員の定年の延長自体はもちろん悪くありません。年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられる中では、社会全体として少なくとも65歳まで働ける環境を整えることは必要不可欠だからです。
ただ、すべての国民が驚くべきで、また怒るべきは、この法改正は単に定年を延長するだけではなく、延長された60〜65歳の間に国家公務員に破格の待遇を与えようとしていることです。
具体的には、法改正ではまず60歳での役職定年制が導入されます。つまり、国家公務員は60歳までは昇進できて給料も上がり続けるのです。そして、60歳を過ぎた最初の4月1日以降は、60歳まで昇進を続けて到達した最高位のポストでもらっていた給料の7割が65歳まで保証されるのです。
ちなみに、この法改正ではご丁寧に、もし60歳を過ぎた最初の4月1日までに役職定年による降任と降給があった場合は、降任前の最高位のポストでの給料の7割とすることまで定められています。
キャリア官僚ならば60歳まで出世を続ければ年収1500万円程度、一般職の官僚でも最後に管理職になれば年収1000万円程度になるはずです。つまり、60歳を過ぎても65歳までキャリア官僚なら年収1000万円程度、一般職でも年収700万円程度は保証されることになるのです。この異常なまでの待遇の良さは、2つの点であり得ません。
第一に、公務員制度改革がまだ十分に進んでおらず、年功序列の要素が色濃く残ったままで、能力実績主義が徹底されていません。能力も実績も伴わない人が大した仕事もせずにこのような高給を65歳までもらい続けられるというのは、はっきり言って非常識の部類に入ると思います。
第二に、これが民間ならば、普通は50歳代のどこかで役職定年となり、役職を離れれば当然ながらそこで給料は下がります。かつ、60歳になって65歳まで再雇用される段階では、その給料が更に半分以下に下がり、結果として60歳以降の収入は最高給与の3〜4割になる場合が一般的です。
[匿名さん]