今年のベストナイン(セ・リーグ)の有効投票数は306。
村上が249、岡本が59票だから足して305となり、1票だけ足りない。それは阪神の大山悠輔にも1票が入っていたからだ。
たしかに大山も立派な選手ではある。ただ、今年は故障離脱もあってシーズン全体の成績は下降。シーズン終盤にはスタメン落ちもあった。にもかかわらず、その大山が村上や岡本よりも「ベスト」にふさわしいと考えた記者がいた、というわけだ。
同じ阪神の選手で不可解だったのが、外野手部門で1票を得た陽川尚将だ。
そもそも、セ・リーグ外野部門はかなりハイレベルで、選外には規定打席にわずか4打席足りなかったものの、OPS実質リーグ2位のオースティン、打率リーグ5位・6位の桑原将志と佐野恵太(いずれもDeNA)らがいる。
一方、陽川は出場41試合で打率.174、2本塁打、ベストナインどころかレギュラーですらない。
何より、外野での出場はわずか10試合、一塁で23試合という選手になぜ票が入ったのだろうか。
どのあたりが「ベスト」だったのか、記者にはぜひとも説明してほしいものである。
先に発表されたゴールデン・グラブにしても、新聞・通信・放送各社に所属し、プロ野球取材経験5年以上の記者による投票で決定される。選手に近い距離感で、毎試合のように球場に足を運び、生のプレーを見てきた記者が票を投じたのだから、そこには明確かつ絶対的な理由があるはずだ。
真剣に投票している記者が大半のはずだが、一部に「担当チームへの忖度」を疑われるような投票をする記者がいる。
こうした流れになってしまうのも、すべては“非公開投票”というシステムに問題がある。