静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で発生した土石流災害は3日で発生から1カ月。住民は復興への期待と不安が入り交じった思いを抱える。被災地は日常を取り戻しつつある一面を見せるものの、災害の爪痕が克明に残る。現場を歩いた。
土砂が流れ下った逢初(あいぞめ)川にかかる国道135号の逢初橋。発生の直後は土砂に埋まっていたが、7月29日に通行規制が解除された。両側に安全柵が設置され、路面に少し土の色が残るが、何事もなかったかのように車両や観光客らが通過する。
橋のたもとに目を移すと、重機が土砂を取り除いていた。JR東海道線の高架をくぐって橋と交差する細道の上はまだ水が流れている。近くの男性(65)は「大雨が降ると、水が路上にあふれることはあったが、1カ月もおさまらないなんて……」と戸惑っていた。
橋の北側の浜集落で、住民がボランティアと自宅の泥かきを行っていた。家具や自転車は1メートルほどの高さに積もった土砂に埋もれ、壁は泥だらけ。土砂は1カ月で乾いて固まり、スコップがなかなか刺さらなかった。手つかずのまま放置された住宅も少なくない。
周辺の一部は市の設定した立ち入り禁止区域が7月31日に解除された。浜町内会の千葉誠一会長(74)によると、本格的な作業を始めたが、電気やガスが復旧せず、手作業という。「盛り土への不安もあるが、まずは目の前の生活再建が第一だ」と明かした。
和田盛治さん(82)の自宅は立ち入り禁止区域内にあった。母屋は無事だったが、離れは土石流に襲われて、ホテルに避難した。ボランティアが離れで作業する様子を眺め、「暑い中、本当にありがたい」。排水設備が復旧したら自宅に戻るつもりだという。
浜集落から500メートルほど山側にある仲道集落。高台に立つと、逢初橋付近と打って変わり、土砂が一体を覆い尽くす光景が目に入った。土が5メートルほどの高さに堆積(たいせき)。流された木の幹も積み上がる。重機の音が響き渡り、泥の臭いが鼻を突いた。
土砂が流れ下った逢初(あいぞめ)川にかかる国道135号の逢初橋。発生の直後は土砂に埋まっていたが、7月29日に通行規制が解除された。両側に安全柵が設置され、路面に少し土の色が残るが、何事もなかったかのように車両や観光客らが通過する。
橋のたもとに目を移すと、重機が土砂を取り除いていた。JR東海道線の高架をくぐって橋と交差する細道の上はまだ水が流れている。近くの男性(65)は「大雨が降ると、水が路上にあふれることはあったが、1カ月もおさまらないなんて……」と戸惑っていた。
橋の北側の浜集落で、住民がボランティアと自宅の泥かきを行っていた。家具や自転車は1メートルほどの高さに積もった土砂に埋もれ、壁は泥だらけ。土砂は1カ月で乾いて固まり、スコップがなかなか刺さらなかった。手つかずのまま放置された住宅も少なくない。
周辺の一部は市の設定した立ち入り禁止区域が7月31日に解除された。浜町内会の千葉誠一会長(74)によると、本格的な作業を始めたが、電気やガスが復旧せず、手作業という。「盛り土への不安もあるが、まずは目の前の生活再建が第一だ」と明かした。
和田盛治さん(82)の自宅は立ち入り禁止区域内にあった。母屋は無事だったが、離れは土石流に襲われて、ホテルに避難した。ボランティアが離れで作業する様子を眺め、「暑い中、本当にありがたい」。排水設備が復旧したら自宅に戻るつもりだという。
浜集落から500メートルほど山側にある仲道集落。高台に立つと、逢初橋付近と打って変わり、土砂が一体を覆い尽くす光景が目に入った。土が5メートルほどの高さに堆積(たいせき)。流された木の幹も積み上がる。重機の音が響き渡り、泥の臭いが鼻を突いた。