🎾 江東区雑談

社会
今は亡き「オリンピックおじさん」　来年の夏、受け継ぐのは僕
2020年07月26日 06時00分
「五輪おじさん」と呼ばれた山田直稔さんのパネル前でポーズをとる孫の蔵之輔さん＝３月、東京都内で
　「五輪おじさん」と呼ばれ、昨年３月に９２歳で亡くなった山田直稔さんの孫で、中学２年の蔵之輔さん（１３）＝東京都江東区＝が、来夏開幕予定の東京五輪を楽しみにしている。「世界中の人をつなげられるような応援をしたい」。祖父譲りのシルクハットと日の丸入りの扇子もそのまま使うつもりだ。
◆愛用の扇子には「東京」の文字
　蔵之輔さんは、根っからのおじいちゃん子。「くらちゃん」と呼ばれ、４歳から取り組む体操の大会で活躍してメダルを獲得すると喜んでくれたという。「いつも笑顔のおじいちゃんが大好きだった」と振り返る。
　山田さんは、ワイヤロープ販売会社を経営する傍ら、１９６４年東京大会から２０１６年リオデジャネイロ大会まで全ての夏季五輪を現地で観戦。羽織はかま姿で金色のシルクハットをかぶり、満面の笑みで声援を送る、まさに日本の応援団長だった。
　五輪観戦に訪れる前には、愛用の扇子に開催地を書き込むのが恒例で、既に東京の文字も刻まれていた。昨年２月に体調を崩して入院した際にも、家族が病室に愛用のシルクハットと扇子を持ち込んで「東京五輪に行こう」と励ましたが、夢はかなわなかった。

２０１２年７月、ロンドン五輪の会場に駆けつけた山田直稔さん＝コベントリー競技場で（共同）
◆声援はダメでも大きな拍手と扇子で
　葬儀で「２代目の応援団長をやります」と宣言したという蔵之輔さん。山田さんが世界中の人々と笑顔の交流を続け、応援を通じて互いを認め合い、尊重することで平和と友好を訴えたことを「途切れさせてはいけない」との一念からだった。
　東京五輪のチケット抽選で、唯一当選したのがバレーボール女子の３位決定戦。