サミットが開幕した11日の会議では、感染症発生時の供給網が討議された。
新型コロナウイルス禍でマスクなどの医療品が不足し、中国製品に頼ったことを受け、複数の首脳からもろさが露呈した供給網の強化を訴える発言が出た。
菅義偉首相も「重要な供給網の脆弱(ぜいじゃく)性は問題で、G7が協調する形で、戦略的に取り組んでいく必要がある」と強調した。12日も半導体関連や、電気自動車などハイテク製品の生産に欠かせないレアアース(希土類)といった戦略物資の供給網に関して、「脱中国戦略」を協議する見通し。
G7が供給網の議論を急ぐのは、対中依存が高まれば、「覇権的な海洋進出や人権侵害などに厳しい姿勢を示しづらくなる」(英専門家)との懸念からだ。
新型コロナウイルス感染が拡大した各地で中国は昨年、マスクなど医療支援に乗じた「マスク外交」を展開し、メディアや政治家らの対中批判発言を封じ込めようとした経緯がある。
バイデン米政権はサミット開幕に先立つ8日、日米とオーストラリア、インドの4カ国による枠組み「クアッド」やG7の連携により、強靭(きょうじん)な供給網を作る必要性を示した。サミットでは、レアアースの採掘計画が進んでいる豪州の意見も重視されるとみられる。
ただ、脱中国が円滑に進む保証はない。中国が世界供給量で約6割を占めるレアアースは、加工の大半を中国企業が担っている。
またG7は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への対抗策も打ち出す見通しだが、どこまで有効な計画を練ることができるか、途上国の支持を得ることができるか、なお不透明だ。
[匿名さん]