オスプレイ緊急着陸「怖い」「何も分からない」増す不安
大分空港に緊急着陸した米軍の新型輸送機オスプレイ
「なぜ大分に」「怖い」—。国内外で事故や墜落などの飛行トラブルが相次いでいる米軍の新型輸送機オスプレイが29日夕、国東市の大分空港に緊急着陸した。墜落やけが人などはなかったが、米軍の岩国基地(山口県岩国市)から普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に向かう途中のエンジントラブルが理由とみられる。突然の異常事態に大分県民は不安の声を口にした。
国東市武蔵町の無職伊藤雄三さん(67)は近くを車で走行中、オスプレイが南の方角から空港へ向かうのを目撃した。「プロペラを傾けて普通に降りていった。ガス欠かなと思った」という。
空港内にある国土交通省大分空港事務所は職員が状況把握に追われた。総務課の担当者は「日米地位協定があり、両政府の合意がなければ詳細を公表できない」、空港ビルを運営する大分航空ターミナル職員も「空港事務所が話せないというので、何も分からない」と硬い表情。
近くの小高い緑地には家族連れや仕事帰りの人らが集まり、駐機場に止まったグレーの機体を不安げに見つめた。カーラジオのニュースを聞いて駆け付けた日出町の会社員井尻朗さん(53)は「突然のことで驚いた。今後どうなるか気になる」と懸念した。
オスプレイは今月5日にオーストラリアで墜落事故を起こしたばかり。「オスプレイの低空飛行に反対する連絡会」の遠入健夫会長(81)=大分市=は「機体のトラブルによる緊急着陸なら安全性は全く担保されていない。大分にも危険が及ぶ可能性がある。県への申し入れなどを検討したい」と批判した。
※この記事は、8月30日大分合同新聞朝刊21ページに掲載されています。
[匿名さん]