タイ国立開発行政研究院(NIDA; National Institute of Development Administration)の調査センター(NIDA Poll)は2025年7月20日、「仏教の危機」に関する世論調査の結果を発表しました。調査は7月14日から16日にかけて、全国の18歳以上の仏教徒1,310人を対象に実施されました。
僧侶の世俗化が最大の問題に
現在の仏教界における問題の原因について尋ねたところ、最も多かったのは「一部の僧侶が世俗から離れず、日常的にギャンブル・酒・性風俗などに関わっていること」(76.11%)でした。以下、「僧侶が真剣に修行せず、教えや道徳を軽視している」(45.95%)、「教義に反する行動や金銭の不正利用」(45.80%)などが続いており、出家者の行動に対する批判が上位を占めています。
また、「仏教組織の運営が不透明で非効率」(25.42%)や、「仏教本来の教えを無視した儀式偏重」(7.79%)といった制度的な課題も指摘されました。
僧侶や仏教そのものへの信頼が低下
「現在の僧侶に対する信頼感は変化したか」との質問では、「信頼が低下した」と答えた人が58.40%にのぼりました。また、「仏教そのものへの信頼が低下した」と答えた人も31.45%に達しており、宗教そのものへの信頼感も揺らいでいることがうかがえます。
僧侶の不適切行為に罰則を求める声
仏教関連法の見直しについても意見が示されました。政府が検討中の「不適切な僧侶の行為に対して罰則を科す法案」への賛否を問うと、以下のような結果となりました:
・僧侶が政治活動や不道徳行為を行った場合に処罰すべき:80.76%が「賛成」
・出家者による違法薬物や性犯罪に対して処罰すべき:78.17%が「賛成」
・不道徳な教義の広まりを防ぐための処罰:68.63%が「賛成」
いずれの項目でも6割以上が「賛成」と回答しており、宗教界に対しても厳格な責任を求める国民感情が浮き彫りになっています。