>>309
人間は互いに協力し合って生きている存在です。
そして、それよりもっと大切なのは、「人間は生かされている存在である」ということです。
水は何も考えることなく、偉大なる転生輪廻ともいえる循環を通して、大いなる働きをしています。
人間もまた、大いなる循環、輪廻のなかにあるという事実があります。
(中略)
みなさんは生かされています。
「けさ目が覚めたら、命があった」ということを喜ぶ心があっても、おかしくないではありませんか。
「三度の食事に不自由しない」ということを、うれしく思ってもよいのではないでしょうか。
「空気が清浄で、酸素がおいしい」ということに対する感謝する気持ちがあってもよいのではないでしょうか。
「きょうも本が読める」
「きょうも勉強ができる」
「きょうも仕事がある」
「自分を支えてくれる家族がいる」
「きょうも太陽が間違いなく東の空から昇ってきた」
などということも、ありがたいことではないでしょうか。
こうした事実を知るとき、みなさんは「足ることを知る」ということに思い至るのです。
足ることを知らない心は、自分のみを見て、他を見ない心です。
自分が生きていることのみを知って、生かされていることを知らない心です。
(『伝道論』第三章 足ることを知る心 より)