社説:現金給付案 場当たり感が否めない 京都新聞 / 2022年4月22日 16時5分
政府は、月内にまとめる物価高の緊急対策で、低所得の子育て世帯を対象に子ども1人当たり5万円を支給する方向で調整している。現在実施している困窮世帯向けの10万円給付も対象を広げるという。
政府・与党は先月、公的年金が4月分から減額される穴埋めとして、年金生活者に1人5千円を給付する案が、夏の参院選前の「ばらまき」と批判を浴び、白紙に戻したばかりだ。
今回の給付案は低所得者に対象を絞るものの、政権内で十分議論された様子はうかがえず、場当たり感が否めない。
資源価格の上昇や急激な円安で光熱費や食料品が軒並み値上がりしている。生活に困っている人たちを支えることは重要だ。
本当に必要な対策なのかを見極め、目的や効果をしっかり吟味することが求められる。
5万円給付案は、低所得のひとり親世帯や、住民税非課税世帯の18歳以下の子どもが対象になる見通しだ。
困窮世帯への10万円給付は、2021年度時点の非課税世帯向けに実施しており、新たに22年度に非課税となった世帯にのみ給付するという。
新型コロナウイルス禍で、政府は生活支援の現金給付を繰り返してきた。
一昨年には、全国民に一律10万円を支給した。岸田文雄政権発足後も、年収960万円以下の世帯の18歳以下に現金・クーポン10万円相当の給付が行われた。
だが、こうして配られた現金の多くは貯蓄に回り、困窮者支援や消費刺激への効果は限定的だったとの指摘がある。
なぜ今回の給付が子どもだけが対象で、5万円なのか、明確な根拠と説明をすべきだ。
自民党は当初、緊急対策の財源として22年度予算の予備費を念頭に置いていたが、約2兆5千億円規模とする補正予算案の編成を求め、今国会で成立を図ることで公明党と合意した。
[匿名さん]