東京・三鷹市のストーカー殺人事件の全容が次第に明らかになっているが、ひとつ分かったことがある。
安易に警察に相談してはいけない、ということだ。
警察庁長官は10日の会見で、「なぜ貴い命を救えなかったのか。警視庁は真摯かつ謙虚に徹底した確認作業を」と話していたが、要するに、真摯さも謙虚さも欠けていたというわけ。
惨殺された私立高3年の鈴木沙彩さん(18)は事件4日前の4日、学校を通じて杉並署にストーカー被害を相談。
ところが杉並署は、沙彩さんの自宅を管轄している三鷹署を勧めた。
「さらに対応した署員から、〈土日は緊急でないと対応できません〉と言われたそうです」(捜査事情通)
で、沙彩さんは週明けの7日に再び学校に相談し、8日午前、両親と三鷹署へ。
そのわずか8時間後に、彼女の部屋のクロゼットに隠れていた池永チャールストーマス容疑者(21)に襲われたのだ。
これまで1000件以上のストーカー被害の相談を受けてきた総合探偵社アビリティオフィス代表の木薮慎市氏は、「あくまで一般論ですが」と前置きしてこう言う。
「恋愛関係のもつれからストーカーになる男は、ほぼ激情タイプです。キレて何を仕出かすか分からない。相手の女性が警察に相談したことを知ったら、〈タレ込みやがって〉などとさらに逆上する恐れもある。相談した直後は、むしろリスクが高まるぐらいに考えた方がいいでしょう。むろん自宅は危険。ウチでも依頼を受けたら、安全確保のために、一時的にホテルなどに避難するように勧めたりします」
沙彩さんも、池永がクロゼットに隠れているとは思いもしなかっただろう。
その「まさか」があるのが、ストーカー事件だ。
家族ぐるみで身を守るしかない。
【日時】2013年10月15日(火)
【提供】日刊現代