🚓 警察

各県で迷惑防止条例が改正され、これまでは公共空間だけで禁止されていた盗撮が住居内などの私的空間でも禁止されるようになっている。
しかし、私的空間の内部で誰がどこの空間を使うかは私的ルールであり、それを守らせるために警察が介入するという理不尽きわまりないものだ。
たとえば、同居している妹の部屋に盗撮カメラを仕掛けた兄は条例適用により犯罪者になる。しかし、家の中のどの部屋を家族の誰が使うかなどは家族間で定めた私的なルールにすぎない。兄が自分の部屋に隠しカメラを設置するのは犯罪にならないのに妹の部屋への設置を犯罪とするのは、家族間で定めた部屋割りという私的ルールを守らせるのに警察が介入しているわけで、全く妥当性がない。
警察が取り締まるのは、公共空間での盗撮と、私的空間を外から覗き盗撮する場合に限定すべきで、私的空間内にいる者同士が定めたルールに介入すべきではない。
私的空間内にいる者同士でプライバシーを守りたいのであれば、ルールで定めた場所に仕切りや鍵つきの扉などを設けて物理的に中を見られないようにすることが限界で、ルールを破られたからといって警察を介入させるのは私的ルールを警察に守らせる愚行だ。
このような事態になった原因は、隠しカメラの小型化が進んだことにより仕切りや鍵つきの扉だけでは私的空間内にいる者同士のプライバシーが守りきれなくなったためとされる。
たとえば、私的空間の例としては住宅の他に会社事務所がある。会社事務所において仕切りや鍵つきの扉でプライバシーを守っている典型的な例が女子トイレだ。
会社内の女子トイレは法律的には事務所の部屋の一つでしかない。会社という私的空間を共有する従業員同士において、その部屋の用途を女子トイレと定める私的ルールを定めただけである。従来は私的ルールを守らせるために仕切りと鍵つきの扉があれば十分だったものが、カメラの小型化によって仕切りや鍵つき扉の内部が容易に撮影できるようになったことで、女子トイレの個室内の映像が撮られて男性社員の間で共有されるような事態が多発した。
このようなことを防ぐために警察が動くこととなったわけだが、私的ルールを守らせるために警察が動く時代になるとは世も末だ。どの部屋が家族の誰の部屋で、会社においてもどの部屋がトイレや更衣室で男性用とするか女性用とするかは私的空間を共有する者同士の私的ルールなのだから。