>>615
では、要望にお応え致します。
店のソープ嬢で知っている名前を訊かれて、「私、店にどんな子がいるか、興味ないもん」と答え支障ない名前のみ答える。
店長の名を訊かれ、「いつも店長と呼んでいるだけだから、名前なんて知らないわ」と答える。
女が店に払うお金は「おはよう代」と「落とし」があり、おはよう代はその日一日店を使う許可料のようなもので、客を何人取ろうが僅か二、三千円程度なのだが、落としのほうは問題で、飲み物、タオル、ボイラーなどの費用負担の名目で、客一本当たり何千円という計算で徴収される。
これが、搾取ではないか、暴力団の資金源でないかなどと探られるから、店はこれについてはあまり触れられたくない。
落としについて尋ねられても、払ったお金の徴収理由も、それが店で何に充てられるかも、一切知らないととぼける。
客との性交渉についても、店からそうするように頼まれたことは一度もなく、高いお金を貰うのだからそれぐらいのことはするものだ、と業界に入る前から思っていた、と当たり障りなく説明した。
のらりくらりと答弁をし続けて、管理売春の証拠となる答え方を全くしないから、警察も尋問を一回で止めた。
内容のある証言をしていないから、後で検察庁や裁判所に出頭する必要もなかった。
風俗で生き抜くためにはそれぐらいの仁義と節操は守らねばと考えて、まるで物事を深く考えていない蓮っ葉女のふりをして、取調官をあきれさせ、何の言質も取られないように努めたという話がとても面白かった。