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『日清戦争も日露戦争もイギリスによるおぜん立てありきのやらせ戦争だった。それが証拠で、白人国家であるロシアからは1円も賠償金を取れなかった』
世界規模のロシアの南下圧力に対する日英の国益が一致したのは確かですが、ここに書かれたことは"やらせ"の"証拠"になんてなりませんよ。
まず当時の欧州列強はロシアのことを一種のアジアと見ていた側面が大なのです。
ロシアの貴族階級はそれを大変いやがり、あえて日常会話にもフランス語を使っていたくらいです。
後のロシア革命で彼らの多くが革命側によって処刑されましたが、言葉が通じずに殺された人々もいたそうです。
それはさておき日露戦争後にカネが取れなかったのは、ひとえに我が国の国力・軍事力の限界です。
ロシア海軍は撃滅しましたが、奉天会戦でロシア陸軍の包囲殲滅に失敗し、またロシア陸軍は欧州方面にも健在。対して我が陸軍は兵力の消耗も激しく(特に最前線で指揮を取る若手将校)、戦争継続が困難な状況だったのです。
そのため我が国としても強引な交渉が出来ず、南樺太の割譲や遼東半島の租借、朝鮮半島における優越的権利等を得たものの、カネは取れずに終わったということです。
これを不十分とみるかは考え方は色々でしょうけれど、歴史的に見れば戦後交渉としては大成功でしょう。
ロシアから見れば、自ら白旗を上げたわけでもなく(日本側から米国を通して和平勧告)、陸戦がモスクワに及んだわけでもないし、日本軍にはこれ以上の戦争遂行能力が無い状況。
それでも日本は、カネは取れなくても朝鮮半島をロシアから切り離し、さらに南樺太も押さえることで、ロシアの南下圧力を消し去るという幕末以来の戦略目標を達成したのですからね。