大手ゼネコン「鹿島建設」の東北支店元幹部が東日本大震災の復興事業で下請け業者から謝礼金として受け取った現金などおよそ2億2000万円を税務申告せず、8300万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いで仙台国税局から告発されました。
告発されたのは鹿島建設東北支店の宮本卓郎元営業部長(54)です。
関係者によりますと、宮本元部長は東日本大震災の復興事業として福島県富岡町で行われた被災した建物の解体工事で、下請け業者から謝礼金として多額の現金を受け取りながら税務申告を行っていなかった疑いがあるということです。
宮本元部長は環境省からこの事業を受注した鹿島建設などの共同企業体の所長を務め下請け業者の選定に強い影響力を持っていたということで、仙台国税局は宮本元部長が平成30年までの2年間におよそ2億2000万円を申告せず、8300万円を脱税したとして所得税法違反の疑いで仙台地方検察庁に告発しました。
現金を提供した下請け業者は国税局の調べに対し「工事を受注する見返りだった」と話しているということで、元部長は提供された資金を車の購入費や遊興費に充てていたということです。
鹿島建設は去年12月、宮本元部長を懲戒解雇しています。
仙台地方検察庁は告発を受けて近く元部長を所得税法違反の罪で在宅起訴するとみられます。
宮本元部長はNHKの取材に対し「検察と大きく争うつもりはありません。被災地の方には申し訳なく思います」などと話しています。