アメリカの携帯通信業界も、ユーザーの確保の方法はかなり即物的なようだ。なんと大手の企業が、発表されたばかりの「iPhone 13」シリーズを無料で提供する施策を打ち出したというのだ。ご存じの通りアメリカはiPhoneを開発しているアップルのお膝元。世界的に見てもiPhone人気の高いエリアである。そんなアメリカで「iPhone 13無料!」なんてキャンペーンを打ち出せばかなりの話題となりそうな予感もする。
今回は、そんなアメリカの通信業界の施策と、日本のかつての集客方法について考えていきたい。
下取りとプラン契約でiPhone 13 Proを無料でゲット!
アメリカの通信大手・AT&Tは現地時間14日、同日に発表されたばかりの「iPhone 13 Pro」を無料で提供するキャンペーンを打ち出したという。無料提供を受けるには「対象製品の下取り」と「無制限データプラン契約」という条件をクリアする必要があるというが、一方で新規客と既存客、どちらもOKという懐の深さも見せている。
iPhone 13 Proはアメリカの小売価格で999ドル(日本の公式サイトでは122,800円~)だといい、発表前から乗り換えを検討していたユーザーにとっては渡りに船といったところだろう。また通常のiPhone 13ではなく、iPhone 13 Proと上位機種を提供してくれることも嬉しいポイントだ。
同様の施策は同じ通信大手のTモバイルUSでも実施されるといい、ベライゾン・コミュニケーションズでは最大800ドルの特典を提供するなど、ライバル同士で業界シェアの拡大競争が激化しているようだ。
日本でもかつて行われていたスマホ大幅値引き
アメリカの通信大手同士がユーザーの奪い合いをしている様子は、かつての日本の3大キャリアを見ているようだ。日本も数年前まで、「実質0円」をうたい文句に各社でスマホ端末の値引き合戦が横行していたことを覚えている読者も多いはずだ。日本では国が規制をかけたこともあり、こうした極端な割引競争はだいぶ落ち着きを見せたが(なくなったというわけではない)、海の向こうでは今もなお人気機種をエサにバチバチのバトルを繰り広げているようだ。
調査会社・カウンターポイントの試算によれば、2021年にiPhone 13は「iPhone 12」と合わせて総出荷台数が6億台を上回るとされている。これは2021年に出荷される世界の5G対応スマホの3分の1を占めるほどの規模だ。
もしかすると今回のAT&Tの施策も、ハマればハマるほどAT&Tの業界シェアだけでなくiPhoneの世界シェアも拡大していくことにつながるのかもしれない。もしAT&Tの目論見が見事に成功したとすれば、今後日本国内のキャリア大手もiPhoneの大幅値引きキャンペーンに踏み切ってはくれないだろうか。ユーザーとしてはそんな未来が来てくれたほうが直接的におトクを実感できるのだが。
参照元:アップル「iPhone13」を無料で提供-米携帯事業者が顧客獲得競争開始【Bloomberg】
※サムネイル画像(Image:apple.com)