タイ警察中央捜査局(CIB)は、トラン県の静かな整備工場で、火薬と鉄が交わる“異形の職人技”を摘み取った。そこにあったのはエンジン音ではない。銃器の匂いだった。きっかけは、ささいな通報だったのか、それとも計画された密告だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。
現場は一見すると町の片隅にある車修理工場。だがCIBはその奥に“別の機能”を見出していた。整備士を名乗る男が持っていたのは、スパナでもオイル缶でもなかった。――それは、銃器部品だったのだ。
「なぜ車を直す手で銃を作る?」誰かが尋ねたかもしれない──そして「工具の先にあるのは金か、名誉か」と返したかもしれない。
容疑者は、違法な銃器の製造と修理を行い、地域の若者たちへと横流ししていたとされる。彼は語った。「俺は銃が好きだった。それだけなんだ」そう心の中で叫んだかどうかは不明だが、CIBの捜査員たちはすでにその言葉を想定していたに違いない。
摘発された工房には、完成品の銃、未組み立ての部品、そして用途不明の金属片が散在していた。整備工場の静けさは、もはや偽りだった。そこにあったのは、無言の破壊力だった。違法改造と密造、そしてそれを支える技術。技術が善悪を超える瞬間を、CIBは静かに包囲したのだ。
タイ中央捜査局(CIB)プロフェッショナルで中立、国民と共に。
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