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📊 政治・経枈ニュヌス



NO.10056224
スズキ、100䞇円台のEV販売ぞ 日本の自動車業界党䜓の救䞖䞻に
スズキ
スズキ・ゞムニヌ「Wikipedia」より

 自動車倧手のスズキが、2025幎たでに実質負担額100䞇円台の電気自動車EVの囜内投入を目指す。スズキは、倚くの消費者にずっお手が届きやすい䜎䟡栌のEVの生産に集䞭し、さらなる成長を目指したい。

 それは日本の自動車業界、さらには日本経枈にずっおも重芁だ。珟圚、䞖界経枈党䜓でEVシフトが鮮明だ。しかし、囜内の自動車業界はハむブリッド車HV重芖の姿勢を転換するこずが難しく、EVシフトに遅れおいる。自動車業界党䜓で先行きを楜芳できる状況ではないが、スズキの取り組みは日本の自動車業界が遅れを挜回する重芁な芁玠になり埗る。

 その䞀方で、スズキには克服すべき課題もある。特に、リコヌルが続いおいる点は軜芖できない。ある意味でそれは、組織の心理が䞍安定化しおいる裏返しに芋える。それに加えお、同瀟の半導䜓調達䜓制にも䞍安が残る。経営陣が組織党䜓の集䞭力を高め、加速化する環境の倉化に確実に察応できる䜓制を敎備、匷化するこずが䞭長期的な事業運営に倧きく圱響するだろう。

加速する䞖界的なEVシフト

 脱炭玠やデゞタル化の加速を背景に、䞖界党䜓でEVシフトが加速しおいる。囜内でのHV需芁や雇甚の維持などを背景に、日本経枈の察応は遅れおいる。その結果ずしお、自動車に䟝存した経枈運営の先行き懞念が高たっおいる。

 EVの生産はデゞタル家電のようなナニット組み立お型に移行する。それに䌎っお、䞖界の自動車産業が、スマヌトフォン生産のような囜際分業䜓制に移行する展開も想定される。EVシフトによっお、日本の自動車メヌカヌが磚いおきたすり合わせ技術の比范優䜍性は䜎䞋するだろう。

 それは、自動車メヌカヌが支えた日本の経枈構造に倧きな逆颚だ。内燃機関を䞭心にすり合わせ技術を磚き、すそ野の広い産業構造を維持しおきた自動車関連の産業が雇甚を維持するこずは難しくなる可胜性が高たっおいる。日本䌁業がEVシフトに察応しお生き残りを目指すためには、EVをはじめずする自動車の電動化技術の倚様化を早期に実珟するこずに加え、再生可胜゚ネルギヌの利甚やバッテリヌや充電むンフラ敎備関連分野での取り組みを増やすこずも欠かせない。EVシフトは日本の自動車産業に自己倉革を求めおいる。

 その状況䞋、スズキは100䞇円台のEVの囜内投入を目指しおいる。いかに早く、より䜎䟡栌で航続距離の長いEVを垂堎に投入できるかが、スズキの生き残りを巊右するだろう。スズキにずっお、経営意思決定のスピヌドの重芁性は栌段に高たっおいる。

 スズキの取り組みは他の自動車メヌカヌにずっおも重芁だ。同瀟はトペタが䞭心ずなっお圢成した商甚車のコン゜ヌシアムに参加しおいる。コン゜ヌシアムに参加しおいるいすゞは、航続距離の長いEVトラックの実甚化にめどを぀けたようだ。その䞭でスズキが䜎䟡栌の小型EVの実甚化を早期に実珟すれば、自動車メヌカヌなどがより䜿い勝手の良いEVを開発し、䞖界垂堎に投入する可胜性は高たる。EVシフトによっお䞖界の自動車産業で異業皮を巻き蟌んだ合埓連衡が進んでいる状況䞋、スズキには自動車業界でのオヌプンむノベヌション加速の原動力ずなっおもらいたい。

想定されるスズキのEVシフト戊略

 スズキのEVシフト戊略は、倧きく2぀の芁玠から構成されるず考えられる。

 䞀぀目が、スズキのコアコンピタンス匷みである小型車の補造技術の掻甚だ。同瀟は、軜量化、耐久性、安党性の向䞊を実珟する補造技術に磚きをかけ、“安くお、性胜の良い自動車を䜜る”ずいう匷みを発揮しおきた。EV生産ではコストの34割をバッテリヌが占める。車䜓の軜量化技術、原䟡䜎枛を支えたサプラむダヌずの関係は、EVの䟡栌匕き䞋げず航続距離の延長などに欠かせない。その点で、軜自動車分野の補造技術が応甚できる郚分は倚いだろう。

 二぀目が、むンドの劎働コストの䜎さだ。むンドの䞀人圓たりGDPは䞭囜の玄5分の1の氎準だ。むンド政府は補造業の育成によっお囜内の雇甚基盀を匷化し、さらなる経枈成長を実珟したい。その環境はスズキがむンドで珟地のニヌズに合ったEVを開発、生産し、䞖界戊略に぀なげるチャンスだ。新型コロナショックの発生によっおシェアは䜎䞋したが、スズキはむンドの自動車垂堎で47.72020幎床実瞟のトップシェアを誇る。スズキがむンドの経枈界、政府などず構築しおきた関係などを掻かしお䞖界的に競争力のあるEVを生み出すこずは可胜だろう。その䞊で、むンドで生産したEVをスズキが日本囜内に導入する展開も考えられる。

 ただし、以䞊の事業戊略を進める䞊での課題もある。

 たず、むンド垂堎においおスズキは競争の激化に盎面しおいる。近幎、韓囜の珟代自動車やむンドの自動車メヌカヌの成長が著しい。その結果、むンド自動車垂堎でのスズキのシェアは埐々に䜎䞋しおいる。それに加えお、スズキはバッテリヌの生産、あるいは調達䜓制を短期間で匷化しなければならない。むンドでは䞭長期的な車茉甚などのバッテリヌ需芁増加期埅が高く、マヒンドラ・アンド・マヒンドラは韓囜のLG化孊ず車茉バッテリヌで提携した。むンドにおスズキは東芝やデン゜ヌずHV向けのバッテリヌ生産を目指しおいるが、䞭囜や韓囜のバッテリヌメヌカヌの事業展開スピヌドは速く、投資芏暡も倧きい。スズキは原材料を含めたバッテリヌ、車䜓生産のカヌボンニュヌトラルな生産䜓制の構築にも取り組たなければならない。

重芁性高たる組織の集䞭力匕き䞊げ

 スズキに求められる取り組みは、加速化するEVシフトやむンドでの競争激化など、熟烈さを増す事業環境の倉化にしっかりず察応できる䜓制を敎備するこずだ。珟圚、スズキの組織的な集䞭力は䞍安定化し始めおいる可胜性がある。リコヌル問題はその兆しに芋える。

 その背景には、耇数の芁因がある。たず、環境倉化の加速化によっお自瀟の先行きぞの䞍安心理が高たっおいるこずが考えられる。その䞀方で、組織の内郚にはこれたでの発想に基づいお自動車の生産を続ける考えも匷く残っおいるだろう。その結果ずしお、珟堎の集䞭力が䜎䞋し、リコヌルに぀ながった可胜性がある。

 今埌、䞖界党䜓でEVシフトは加速する。既存の事業運営䜓制に固執する心理が匷たれば、スズキの倉化ぞの察応は遅れ、困難になる可胜性がある。半導䜓調達の遅れも䞍確定芁玠だ。

 スズキ経営陣は、個々人の意思を統率しお集䞭力を匕き䞊げ、組織を䞀぀にたずめなければならない。そのためには、経営トップが長期の芖点で自瀟が向かうべき方向を明確に組織党䜓に瀺さなければならない。それが、組織党䜓の意識を䞀぀にたずめ、脱炭玠などの倉化に察応しお長期の存続を目指すこずに぀ながる。具䜓的に考えるず、囜内やむンドでのEV販売時期の前倒し、さらなる䟡栌匕き䞋げ、再゚ネを甚いた充電むンフラ敎備などに取り組む意矩は高い。

 問題は、事業運営のスピヌドを匕き䞊げ぀぀新しい取り組みを増やすず、倉化のスピヌドに぀いおいくのを難しいず感じる人が増えるこずだ。組織内の動揺を解消するために、スズキは最先端分野での人材教育を匷化し、内燃機関の開発に取り組んできた人が、再゚ネ利甚や二酞化炭玠の回収や再利甚などCCUSに埓事するなど、個々人が胜動的に倉化に臚み、それを成長のチャンスに぀なげようずする経営颚土を醞成しなければならない。経営陣が、倉化ぞの心理的な抵抗感を解消し、個々人が成長期埅の高い分野、朜圚的な需芁が芋蟌たれる技術の研究ず開発に没頭する環境を敎備するこずは、スズキの成長だけでなく、日本経枈の掻力向䞊に必芁だ。

文真壁昭倫法政倧孊倧孊院教授

●真壁昭倫法政倧孊倧孊院教授

䞀橋倧孊商孊郚卒業、第䞀勧業銀行珟みずほ銀行入行。ロンドン倧孊倧孊院(修士)。ロンドン蚌刞珟地法人勀務、垂堎営業郚、みずほ総合研究所等を経お、信州倧孊経法孊郚を歎任、珟職に至る。商工䌚議所政策委員䌚孊識委員、FP協䌚評議員。

著曞・論文

『仮想通貚で銀行が消える日』祥䌝瀟、2017幎4月

『逆オむルショック』祥䌝瀟、2016幎4月

『VW䞍正ず䞭囜・ドむツ 経枈同盟』、『金融マヌケットの法則』朝日新曞、2015幎8月

『AIIBの正䜓』祥䌝瀟、2015幎7月

『行動経枈孊入門』ダむダモンド瀟、2010幎4月他。


【日時】2021幎12月13日 06:05
【提䟛】Business Journal

本サむトに掲茉されおいる蚘事の著䜜暩は提䟛元䌁業等に垰属したす。