最近、非正規労働の人でスポットワークを利用するケースが増え、新たな社会問題が顕在化している。
スポットワークとは、面接なしで数時間~1日単位の短時間・単発(スポット)で働ける雇用形態のこと。アプリで仕事探しから報酬の受け取りまで完結する手軽さが特徴で、「スキマバイト」や「単発バイト」などとも呼ばれる。多くの企業で人手不足が深刻化し、スポットワークの数が増えている。
副業目的、主婦や学生などが空き時間を活用する手段としては極めて有効だ。しかし、正社員として再び働きたいと考えている非正規の人がスポットワークに頼りすぎて、新しい形の貧困に陥るケースが増えている。以前なら生活保護に頼るようなケースでも、今はスポットワークがたくさんあるため、そちらを優先させてしまう。
スポットワークは募集の数がとにかく多いため、とりあえず日々の暮らしを成り立たせることができる。とはいえ、貯金ができるほどのバイト代ではないので、手軽な働き方拡大の陰で、いつしか貧困から抜け出せなくなるというわけだ。
NPO法人POSSEは20年ほど前から生活困窮者の支援を行っているが、ここ数年は若者からの相談が多く、月に50人を超えることもあるという。親世代が就職氷河期にあたり収入が不安定なためではないかと見ている。以前は実家に戻るという選択肢があったが、親も低収入なために、実家に戻ることもできなくなった。
NHK「クローズアップ現代」で同法人の渡辺寛人理事がインタビューでこう話している。
「家族関係が崩壊しているような若者らが増えている。さらに、うつ病や適応障害など精神疾患を抱えて相談に来る人が多くなっている。メンタルを崩している状況だと正社員で働くのが難しいが、スポットワークならスマホだけで簡単に働ける。昔から日雇い派遣はあったが、今は短時間でより不安定な形で依存せざるを得ない状況になっている」
2018年の東京都調査によると、ネットカフェなどに泊まりながら働く「住居喪失・不安定就労者」が約3000人いるとされているが、発表から8年たっているので、状況は悪化している可能性もある。
リーマンショックのときなど、かつては「そもそも働く場所がない」という状況だったので、行政による就労支援が有効だった。しかし、今はスポットワークがあるだけに、以前のような支援形態が機能しづらくなっている。
ここ数年、新入社員の初任給が上昇していると報道され、若者の生活水準が上がっていると思われがちだが、格差拡大は深刻化しているのかもしれない。
文/横山渉 内外タイムス
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