今月19日早朝、米北東部オハイオ州の警察署に助けを求める市民からの通報が入った。
現場に駆けつけた夜勤の警察官が目撃したものは、この男にしがみついて離れない一匹のブタだった。
珍事件は、今月19日午前5時26分(現地時間)、クリーブランド近郊の町で起こった。
早朝の静寂をかき消すようにノース・リッジビル警察署にかかってきた911番(日本の110番)通報の受話器の向こうでは、「ブタに追われて家に帰れない。助けてくれ!」と大声でわめく男の声が響いた。
夜勤番のクゾヴィク巡査は「どうせ、どこかのバーでしこたま飲んだ酔っぱらいのイタズラさ」と呆れながらパトカーで現場に急行。
ところがアムトラック(国鉄)の駅近くで見つけた男は、酒臭いどころか、まったくのシラフで、どこまでもついてくるブタのせいで、顔面蒼白状態だった。
夜勤を終えてエリリア(Elyria)駅に降りた男は、自宅までの道すがら、巨大な動物がヒタヒタと後をついてくることに気づいた。
なんとか振り切ろうと走ったり、高いところに登ったりしたが、とうとう駅から8キロ先のセンター・リッジ通りまで着いてきてしまった(健脚!)ことから通報に至った。
「ブタごときを怖がるなんてと呆れられそうだけれど、夜道で光る目が不気味で…」としきりに怯える男性を自宅に送り届けた巡査は、なんとかしてブタをパトカーに押し込めて警察署に“連行”。
その3時間後には、「ペットのゾーイが脱走したの」と相談に訪れた飼い主のもとへ無事返した。
ゾーイが見知らぬ男性についていった理由について、動物行動学者のロリ・マリノ(Lori Marino)氏は、「ブタは犬と同じくらい社会的で賢い動物です」と述べて、「パトカーのなかにおとなしく座っているようすからもよくわかるでしょう?」と指摘する。
ペットとして飼いならされたゾーイは、人間やほかの動物と仲良くすることが好きで、男性のあとについて行ったのも、ポケットにしのばせていた食べ物のニオイを嗅ぎつけて好奇心を持った可能性があると説明している。
さらにブタには優れた認知能力があるとしたうえで、「ゾーイにとっては単なる朝の散歩のつもりだったのかもしれないけれど、もしエサになるものを与えていれば、それをいつまでも覚えていてチャンスがあれば、またこの男性の背後に現れるかもしれませんよ」。
【日時】2018年05月23日(水) 15:52
【提供】ハザードラボ