北朝鮮はけさ5時40分ごろ、同国東岸の元山(ウォンサン)付近から、弾道ミサイル1発を日本海に向けて発射した。
菅義偉官房長官は午前中に2度行われた会見で「ミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定される」として、北朝鮮に対して外交ルートを通じて厳重な抗議したと明らかにした。
菅官房長官によると、発射されたミサイルは東方向へ400キロ飛翔し、新潟県の佐渡島から約500キロ、島根県隠岐諸島から約300キロ離れた日本海上に落下したものと推定されるという。
現時点で、付近を航行する船舶や航空機への被害は報告されていないが、菅官房長官は、航行の安全確保の観点から極めて問題な行為であるとともに、国連の安保理決議に対する明確な違反だとして、「断じて許すことはできない」と強い表現で非難している。
今回のミサイルについて、韓国国防部はスカッド型ミサイルだと発表しているほか、米太平洋軍司令部は、短距離弾道ミサイルは6分飛行したと推測している。
政府はけさ7時43分ごろから、国家安全保障会議(NSC)を開催し、ミサイルの種類など、情報の集約や分析を急いでいる。
イタリアのG7先進国首脳会議から帰国した安倍晋三首相は、会議の席上で、引き続き国際社会と連携しつつ、北朝鮮に強く自制を求めて毅然と対応していく方針を指示した。
安倍首相は記者団に対して「米国とともに具体的行動をとっていく」と強調した。
具体的行動について問われた官房長官は、「国連決議を無視して、相変わらず挑発行動を繰り返す北朝鮮に対しては、対話のための対話ではなく、圧力をかけていくことが必要だと日米首脳の間で合意された」と説明。
そのうえで、G7サミットの際に開かれた日米首脳会談で、日米両国で北朝鮮に対する防衛態勢と能力の向上を図るべく、具体的な行動を取っていく考えで一致したと述べた。
一方、北朝鮮は28日、朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』で「新型対空迎撃誘導兵器システム」の発射実験に成功したとして、金正恩朝鮮労働党委員長が実験に立ち会ったようすを公開した。
日時などは不明だが、ミサイルの迎撃能力を内外にアピールすることで、自国への圧力を強めるトランプ政権へ牽制する狙いがあるとみられている。
【日時】2017年05月29日(月) 10:06
【提供】ハザードラボ