稲田朋美防衛相は27日夕方、東京都議選の自民党公認候補の応援演説で、「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」などと訴え、同日深夜に「誤解を招きかねない発言だった」と発言を撤回した。
この発言について菅義偉官房長官は28日午前中の会見で「政府機関は政治的に中立であるべきで、特定の候補者を応援することはありえない」としながらも、「発言を撤回して謝罪している。(稲田氏の)大臣としての資質はまったく問題ない」と述べて、更迭などの処分を行う考えがないことを明らかにした。
この問題は、東京・板橋区で27日に開かれた都議選候補の応援演説会場で、稲葉氏が防衛相という自身の立場に触れたうえで、自民党公認候補への支持を呼びかけたもの。
憲法第15条や公職選挙泡自衛隊法で定められた、公務員や自衛隊員に求められる政治的中立性を逸脱したと受け取られかねない発言だ。
稲田氏は演説後に報道陣から真意を問われ、「自衛隊の練馬駐屯地を受け入れてくれている地元の皆さんに感謝する趣旨で発言した」と釈明し、同日深夜に会見を開いて「誤解を招きかねない発言があった」と認めて発言を撤回した。
菅官房長官は午前中の会見で、「稲田氏から演説終了後に電話連絡を受けて、速やかに撤回し、謝罪した方がいいと指示した」事実を明らかにした。
そのうえで、「自らの発言の説明責任を果たして、これからも職務に忠実にあたっていただきたい」と述べて、処分する考えがないことを明らかにした。
公務員の政治的中立性をめぐっては、2012年の沖縄県宜野湾市長選挙で、当時の沖縄防衛局長が部下に不在者投票を呼びかける講話を行ったことが問題視され、懲戒処分を受けた経緯がある。
また同じ年には、当時の前田武志国土交通相が、岐阜県下呂市長選挙で民主党候補への投票を呼びかける文書を地元に送っていたことが明らかになり、参議院で問責決議案が可決された。
稲田氏の今回の発言をめぐっては、防衛省内部や大臣経験者からも資質を問う声が高まっており、民進党や共産党など野党4党からは臨時国会の召集を要求する動きが見られる。
菅官房長官は、稲田氏への処分が甘すぎるのではないか?という報道陣の質問に対して、「稲田氏は演説直後に発言を撤回し、謝罪している」として、繰り返し辞任の必要はないと述べた。
【日時】2017年06月28日(水) 14:39
【提供】ハザードラボ