新燃岳では5日未明に相次いだ爆発で、大量の噴煙が上空約8000メートルまで上昇していたことが、気象衛星の観測データによって明らかになった。
活動が数時間続いた今回の噴火について、鹿児島大学の火山地質学者、井村隆介准教授は「2011年に起きたような準プリニー式(軽石)噴火に警戒すべきだ」と話している。
気象庁によると新燃岳では5日午前3時31分に爆発し、噴煙が上空5000メートルまで到達。
火山灰や岩、火山ガスが急速に斜面を流れ落ちる火砕流が発生し、火口中心から南東へ800メートル近くまで流れ落ちた。
監視カメラでは、大きな噴石が弧を描いて1キロ以上飛び散るようすも確認されている。
その後も噴火は続き、午前3時45分からは噴煙量が増加。
気象衛星の観測データでは、上空約8000メートルまで立ち上ったと推定される。
今回の爆発は、3月に始まった活動以来、噴煙が最も高くまで上ったが、新燃岳を30年近く観測してきた鹿児島大の井村准教授は「警戒すべきは、次のマグマ噴火だ」と危惧している。
霧島連山は有史以来、活発な噴火を繰り返してきたが、このうち新燃岳は2011年1月26日から27日にかけて、江戸時代から300年ぶりとなるマグマ噴火を起こした。
亨保年間(1716年〜)の噴火では、軽石噴火を繰り返し、ふもとの神社仏閣や家屋を焼失させ、多数の死者負傷者を出し、400頭以上の牛や馬などが死亡した記録がある。
井村准教授は「2011年のマグマ噴火では、桜島の10年分に相当する火山灰を二日間で放出した。3月から始まった噴火活動は流出した溶岩量から見ても現在も継続中で、噴火の間隔が空くことで、地下にたまっていたガスが一気に吹き出して、勢いが1時間以上続く準プリニー式噴火が最も警戒すべきだ」と指摘。
さらに、新燃岳のマグマ溜まりからの距離が伸び続けている点に注目し、「次のマグマ噴火への準備が進んでいる可能性が高い」として、噴火警戒レベルの引き上げを含め、警戒態勢の強化を訴えている。
【日時】2018年04月06日(金) 10:50
【提供】ハザードラボ