国内の主要大会でのドーピング検査において、従来の尿採取による検査だけでなく、希望する選手は血液による検査で代替することを可能とする案が検討されている。
尿採取によるドーピング検査の場合、一部の選手は検査に強いストレスを感じ、翌日のコンディションにまで影響を与える恐れがあるとする調査結果がまとまったためだ。
国立スポーツ科学センターの調査によると、ドーピング検査の経験がある選手のうち、男子の16％、女子の24％が検査にストレスを感じると回答。ストレスの要因の大部分は採尿の監視に起因するものだ。
不正防止のため、選手は検査員の目前で採尿する必要がある。上衣は胸までまくりあげ、下衣は膝まで下ろさせ、男子選手は小便器から一定の距離をおいて立たせ、女子選手は個室の扉を開けたまま便座に座らせ両足を開くことが求められる。
検査員は同性だが、下半身を露出した姿勢で尿を出すことに強いストレスを覚え、羞恥心から本人の意思では尿が出せなくなるケースもある。
特に女子選手にその傾向が強く、個室を開けられたままという環境や足を開くという姿勢が、平常のトイレ使用時の状況と大きく異なることに起因すると考えられている。
羞恥心から本人の意思で尿が出ない場合は、水分の摂取を継続的に行い、尿の排出を促す。そのようなケースでは検査に数時間を要する場合もあるが、摂取した水分量が膀胱の許容量を超えれば、本人の意思にかかわらず尿が排出されるため、検査が不能になることはない。
しかし、ある女子選手から寄せられた回答では、膀胱が許容量を超えた時は失禁の屈辱感もあり、その状況を監視されたことに強いストレスを覚えたほか、頻尿でトイレが近くなり翌日のプレーにまで影響が出たとするものもあった。
そのため、ドーピング検査にストレスを感じる選手が不利にならないように、希望者は血液による検査で代替できるように現在検討が進められている。
最高のコンディションが求められるトップアスリートにおいて、一部の選手が抱えるドーピング検査のストレスを低減することは、選手間の不公平をなくし、公正競技が行われるために必要不可欠なことだ。
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