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アフリカの野生動物保護区で最近、ヒョウが生まれて間もない子ジカと仲良くしているという不思議な光景が目撃された。

サファリツアーのガイドは、今にも子ジカが食われてしまうと怯えながら、殺戮の瞬間を見守っていたという。

おとぎの国の物語のような光景が見られたのは、南アフリカの北東部に位置する「クルーガー国立公園」。

サファリツアーのガイドを務めるチャールズ・ネルさんは、スワジランドの国境に近いキャンプ地で、茂みのなかで一点を見つめながら立ち尽くしている一匹のイワトビカモシカ（クリップスプリンガー）に気づいた。

イワトビカモシカといえば、その名に違わず、岩と岩の間をピョンピョンと跳ねるように移動する動物。

「どうしたんだろう？」と訝しんでいると、突然甲高い鳴き声が周囲に響き渡った。

ネルさんたちは瞬時に事情を察した。

カモシカの視線の先には、若くたくましいオスのヒョウが岩の上に寝そべっており、そのふところには、生まれたばかりの赤ちゃんカモシカがいた。

ヒョウは、抱きかかえるように前足を赤ちゃんにかけると、舌をその小さな体に這わせた。

「食われてしまう！」…カモシカがジッと見つめていたのは、ヒョウの餌食になる我が子だったのか！弱いものから犠牲になる、野生の厳しい掟を理解したネルさんは、目の前の光景の何かがおかしいことに気づいた。

ヒョウは鋭い牙を剥きだすどころか、毛づくろいをするように子ジカの体を舐め始めた。

そして子ジカに咬み傷はなく、一滴の血も流れていなかった。

「まるで、ネコがネズミとじゃれあっているようでした」とネルさんは言う。

名残惜しい気持ちを抑えながら、ネルさんたちは、その場を離れて、後続車のために先へ進まなければならなかった。

ここで紹介するのは、後続車のツアー客が撮影していたその後の展開。

おびえる赤ちゃんカモシカが猛獣のそばから逃げ出そうと、隙を見て岩の上から飛び降りた。

動きに気づいたヒョウは、瞬時に前足の鋭い爪を立て、逃れようともがきながら落ちていく子ジカの体をつかんだ。

岩の下の茂みのなかで、先ほどまで可愛がっていた子ジカが、獲物にかわった瞬間だった。

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