春の浮き世の夜―――
月明かりに照らされ妖艶で見事で美しい桜が咲き乱れる真夜中の夜
―梶井基次郎の短編小説『櫻の樹の下には』より抜粋―
なぜ桜が美しく咲き誇るかと?それは、古くは戦国時代の合戦や日本国での戦争で果てた兵隊さんなどの死体が桜の木の下に眠り、その養分を桜の木が吸いとるから桜の木は綺麗に爆発的に咲き誇るそうである………
そんな真夜中の夜、、
怒りや憎しみの表情を浮かべながら「ゼエ、ゼエ」と息づかい荒くけっそうをかいて獣道を掻き分けて来る者がいる
まるで尋常ではなく、正気の沙汰ではない
どうやら獣道道の先には神社があり
その者の手には金槌と人ガタがあり……
「人ガタとは藁人形である」
まわりには民家も駅もなく人里、離れた場所に神社があり
育霊神社という実際にある岡山の別名、藁人形神社である
そんな場所に真夜中、独りのザンバラ髪のボサボサに乱れた頭の女が怒り憎しみの表情で獣道道を掻き分けてやってきた
手には金槌に藁人形……
もはや真夜中に独りそのような場所とは精神がマトモではない
神社の御神木からトントン怒り憎しみを込め
木霊する夜の静寂を突き抜ける憎悪のカンカン音………
これは現代でも続く丑の刻参りの話しである....